大昔、日本のほとんどの人は、地面に穴を掘って建てた「竪穴建物」という家に住んでいました。そして穴を掘って食べ物を貯めたり、火を焚くために石を積んだりして生活のために使っていました。
人が生活したあとは、人がいなくなると長い年月をかけてだんだん埋まっていきました。このような人が生活したあとのことを「遺構」と言います。埋まったあとに、再び人がやってくることもありました。
人は生活するためにいろいろな道具を使います。道具は、使った場所や捨てられた場所に残されます。こうして残された道具のことを、「遺物」と言います。
「遺構」や「遺物」がある場所のことを「遺跡」と言います。地中には、こんな遺跡がたくさん眠っているのです。
畑を耕したり、家を建てたりするために地面を掘ると、地中で眠っていた遺物が見つかることがあります。多くの遺跡は、遺物が見つかったために、発見されました。発見された遺跡の場所は「遺跡地図」に示されます。
多くの遺跡は、地中に埋まったまま保存されています。そのため、遺跡地図を見ないと遺跡だと分からない場所もたくさんあります。道路や建物をつくりたい場合には、注意が必要です。工事をする予定の場所に、遺跡があるかもしれないからです。
もし、遺跡であることに気づかなかったり、気づいても何もせずに工事をしてしまうと大変です。出来上がった道路や建物は、末永くみんなの役に立ちますが、その場所がどんな遺跡だったのか、永久に分からなくなってしまいます。
けれど、どうしても遺跡が大きく壊れてしまう場合には、県や市町村の教育委員会が遺跡の記録を残します。このように、工事の前に行われる発掘調査を「緊急調査」と言います。 この他、保存や公開のための「学術調査」が行われることもあります。
発掘調査は、主に春から秋の間に行われます。遺構がある位置まで土を掘って、平らに削ると、遺構の形が見えてきます。
遺構を部分的に掘って、埋まっている土の様子を観察したり、遺構の形を写真や図面で記録をとったり、昔の人が何をしたあとなのかを調べます。時には、遺構の下にもっと昔の遺構が見つかることもありますが、すべて記録して、遺物を回収します。
昔の様子がよくわかる遺跡であれば、「遺跡見学会」を行って、たくさんの人に遺跡を見てもらいます。 そして遺跡の記録をすべて取り終わってから、工事を始めます。
遺跡で工事が始まってもまだ終わりではありません。遺構の記録を整頓して、回収した遺物を修復し、図にします。そして、遺跡の様子をまとめた「報告書」を作ります。
この報告書によって、遺跡で工事が行われた後も、どんな遺跡だったのかを誰でも知ることができるようになります。
埋蔵文化財センターには、このように整頓された報告書や遺物、遺跡の記録がたくさん保管されています。そして、これらをたくさんの人に見てもらえるよう、さまざまな活動を行っています。
こうして発掘された遺跡は、たくさんの人に歴史を教えてくれる手がかりとして活用されています。まだ発掘されていない遺跡も、歴史の手がかりをたくさん秘めています。こうした歴史の遺産を、みんなで大事にしていきましょう。
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