2016(平成28)年度
平成28年度 第1回運営協議会
【開催期日】平成28年6月15日(水) 午後2時~午後4時
1 所長あいさつ
- 委員の皆様には、お忙しい中、平成28年度第1回秋田県埋蔵文化財センター運営協議会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。
本日の協議会の進め方としましては、会の前半で、今年度の事業計画について御説明申し上げ、埋蔵文化財センターのおおよその動きについて御理解いただきたいと思っております。そして、後半は、『あきた埋文の利用拡大について』をテーマに、委員の皆様から御提言いただくこととしております。
今後の埋蔵文化財センターを展望いたしますと、これまでの膨大な発掘調査の成果を県民の皆様にお伝えする、そのことをもって、ふるさとに対する愛着を涵養することや地域の活性化に資することが、大きな使命の一つになると考えております。
もちろん、埋蔵文化財の保護のための、発掘調査の実施が第一の使命ではありますが、埋蔵文化財の活用を通して、県民文化の向上を図ることもまた重要であります。そのためには、資料活用事業の充実が不可欠であり、事業の充実度を測る指標の一つは、講演会や展示会への参加・来場者をはじめ、児童・生徒のセカンドスクール利用等を含めた、埋蔵文化財センター全体の利用者数であると考えました。
県民の皆様方の歴史や考古学に対する興味関心を喚起する事業、県内の埋蔵文化財と県内外、日本の歴史についての理解を深める事業、そして、秋田県の歴史や埋蔵文化財からふるさとの現在と未来を考える事業という観点から、『あきた埋文の活用事業』というブランドを、築き上げていきたいと考えております。
本日は、よろしくお願いいたします。
2 委員長あいさつ
- 一昨日より東北地方も梅雨入りしている。現在発掘調査もはじまり、活用事業も利用が高まっていると所長から説明があった。秋田市などでも観光文化市として、いかに観光と文化を結びつけるかという取り組みが進められている。まして、秋田県は少子高齢化が進んでいるという問題も抱えている中、秋田の良さを全国の皆さまに知っていただくためにも違った切り口から紹介していくことが求められている。祭りや文化財、ジオパーク等を含め再認識してもらえるよう頑張っていきたいものである。
今日の資料も盛りだくさんではあるが、所からの説明をいただきながら私たち委員もより良い助言ができるよう進めていきたいので、よろしくお願いしたい。
3 報告
平成28年度事業計画報告
- 発掘調査事業等
- 発掘調査
- 報告書作成
- 峰吉川中村遺跡 上谷地遺跡
- 遺跡詳細分布調査報告書
- 確認調査
- 活用事業
- 遺跡見学会 調査期間中に実施 片貝遺跡 8月6日 他は未定(調整中)
- 発掘調査報告会 講演会 企画展 あきた埋文考古学セミナー 出張展示
- 古代発見!バスツアー セカンド・スクール 夏休み中の考古学教室
- インターンシップ 博物館実習 教職10年研修 貸し出しキット
- 県庁出前講座 連携事業等 遺物および図書の管理について
4 協議
- 「あきた埋文の利用拡大について」
- 学校教育に関して セカンドスクール 出前授業 インターンシップ等
- 企画展のテーマについて
- 古代発見!バスツアーについて
- 発掘調査現地見学会について
- 関係機関との連携について
- 収蔵資料の活用や利用について
- あきた埋文の今後のあり方について
- 委員からの提言
- その他
5 委員からの主な提言
協議の「あきた埋文の利用拡大について」1.~7.の他に委員の皆様が感じている事柄を含め様々な提言をいただいた。
- 報告会の体験教室の中で紹介された、ストーンサークルや竪穴住居の立体模型などは、普段も行っているのか、また販売提供も含めて考えているのか。
- 出張展示や報告会などでも、原価で販売しても欲しいと思う人が出てくるのではないだろうか。もったいないくらい優秀な物だと思う。
- (①学校教育に関して)について、秋田県の人口が減少しているので我々が伝えるべき世代も縮小していると考える。
(⑤関係機関との連携)については、大館郷土博物館を訪れた際に館長からあきた埋文と連携を図りたいむねを聞いている。
(⑦あきた埋文の今後のあり方)については、次のような提案をしたい。
一点目は、あきた埋文のホームページを見たところ年間平均1万5千人がアクセスしていることが分かった。関心のある人をとらえる指標となっている。
二点目は、あきた埋文の発掘した遺跡に興味関心がある県民は多くいる。その案内板や標柱がないと見つけるのは難しいので、整備できないものだろうか。QRコードなどを設け、スマホ等で詳しい説明を受けられるようにしてほしい。
- ホームページの活用について話題になっているが、夏休み中の企画もすぐアクセスできるようにしてもらいたい。例えば、空調設備(エアコン)を整え各団体(研修会)で利用してもらうことはできないだろうか。また、貸し出し可能な自転車の整備も魅力的である。
- 無料貸し自転車ブームでもあるので検討の余地があるかもしれない。センター研修室を貸部屋として利用していただくのは難しいと思うが、研修会等の利用拡大をすすめてほしい。
- 仙北地域には、高等学校が多いのになぜ利用数が少ないのだろうか。小・中学校のように利用数を増やす努力を行っているとは思うが、どのように取り組まれているか教えてほしい。 夏休み中に来てもらう宣伝も必要なのではないだろうか。
- 地域振興局ではドローンが1台あるので、活用方法があれが考えていただきたい。
- 大曲の花火の週に、花火weekとして取り組みができないだろうか。トイレ利用者が多い大曲技術専門校でブースを開き、展示するとか宣伝をするなど利用者を増やす方策として何かできそうだ。
- インターネット活用で、遺跡をCGで復元し、創造性を育む事はできないだろうか。遺構を見ると私は穴にしか見えないので、子どもたちのために何か工夫できないだろうか。
- 新しいことを取り入れていく時代になっていると感じる。様々な所で、より詳しい説明をしてくれるガイドが増えている。センターでもできないだろうか。新しい発見を求め、行ってみたい、知りたいと思う人が多くいるのでバスツアーなどにも参加すると感じる。「ふるさと検定」等もあるので、「あきた埋文検定」なるものも設定できないか。
- 先ほど話したグッズ関係を検討いただきたい。ホームページで「あきた埋文」で検索できればいいのではないか。
- 郷土史という観点から、離れていても他地域の様子が分かる企画展の内容は活用の可能性が大きいと感じる。
- H18に男鹿で体験活動があり参加したが、今後も市町村教育委員会と共催していただいて土器づくり等行ってもらいたい。
- SNSの活用も大いに検討していく時代であり、施設の活用についても充実していきたい。「あきた埋文の利用拡大」は秋田に多くの人を呼び込む観光財産にもなり得る。今日の提言を今後の運営に生かしていただきたい。
Ⅶ 委員からの提言を受けて
- 本日は、たくさんの貴重な御意見・御提言ありがとうございました。あらためて、地域における各界の皆様のそれぞれのお立場や、センターの外側、県民の立場からのお考えを伺うことの大切さを認識したところでございます。今回いただいた御意見・御提言は、次年度の計画立案の参考にさせていただくとともに、今年度の事業等に活かせることは早速取り入れて行きたいと思います。
2月に予定しております2回目の運営協議会では、今回いただいた御意見・御提言を生かした今年度の実施事業、及び来年度の事業計画について、御報告したいと思います。
本日は、熱心な御協議、本当にありがとうございました。
平成28年度 第2回運営協議会
【開催期日】平成29年2月8日(水)午後2時~午後4時
1 所長あいさつ
- 6月に開催しました第1回運営協議会では、発掘調査や資料活用事業を含むセンター全体の運営にとどまらず、あきた埋文の利用拡大をテーマとして上げ、さまざまなご提言をいただきました。委員の皆様が誠に活発で多角的な視点からご協議をいただいたことに対して非常にありがたいと感じ、会議の終わりには今回のご意見、ご提言で今年度の事業等にいかせるところは早速取り入れていきたいと申し上げました。
本日の協議会の前半では、今年度の事業について発掘調査、遺跡見学会、学校サポート、主催事業、共催・機関連携等による普及事業の5項目に分けてご報告を申し上げますので、よかったと思われる点、改善すべき点などご批判や評価等をいただきたいと思っております。また後半では、平成29年度の資料活用事業計画(案)について、さらには第1回運営協議会で委員の皆様からいただいたご提言を参考にして新たに対応した事項についてご説明を申し上げますので、来年度に向けた幅広いご提言をお願いしたいと思っております。前回同様、それぞれのお立場から忌憚のないご意見、ご提言をいただければ大変ありがたいと思っております。
2 委員長あいさつ
- 資料を見てみますと、埋蔵文化財センターではさまざまな事業を行っていると深く感じている。また、新聞には、本県の払田柵跡と秋田城跡、岩手県の志波城など古代城柵が文化庁の日本遺産登録をめざして申請したというニュースが報じられている。その前には、角館(仙北市)と土崎(秋田市)、花輪(鹿角市)を含む「山・鉾・屋台行事」が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録される喜ばしいニュースがあった。民俗も含め、現在文化財が非常に注目されてきている。さらに以前から申請手続きを行っている北海道・北東北の縄文遺跡群についても、本県の伊勢堂岱遺跡や大湯環状列石をはじめ関係各道県等が非常に精力的な運動を続けている。このような動きが進んでいく中で、例えば発掘調査成果をどのようにこれからの世代に継承していくのか、あるいはどのように町のにぎわいにつなげていくのか、今後大きく議論されていくものと思われる。秋田県は人口100万人を切ることが時間の問題であると言われているが、文化財や芸術文化を活用して町(街)づくりやにぎわいを一つでも取り戻していければと考えている。そのような点からも埋蔵文化財センターが持っている役割がこれからますます大きくなっていくものと思われるで、今後のがんばりに注目していきたい。
3 報告
- 平成28年度事業報告
- 発掘調査事業
- 活用事業
- 遺跡見学会 学校(教育)サポート 主催事業
- 共催・機関連携等による普及事業
小学校は主に大仙市内、美郷町内、横手市内の6年生が社会科の授業の一環として、中学校は、埋蔵文化財センターの仕事について調べる学習として、特別支援学校は栗田支援学校が縄文プロジェクト学習での活動として、高等学校はインターンシップや総合学習として利用があった。その他は栗田支援学校の縄文土器製作体験に際して、秋田公立美術大学附属高等学院の生徒たちに協力してもらったことが含まれている。
企画展は3年計画で全県を紹介する展示を行っており、2年目の今年度の第Ⅰ期は鳥海山麓周辺を、現在展示中の第Ⅱ期は秋田・男鹿・八郎潟周辺を中心に展示している。平成29年度は県北地域を中心とした展示を行う。
考古学セミナーと出張展示は双方関連した形で行った。出張展示については、3月に県立美術館で片貝家ノ下遺跡の紹介と栗田支援学校の縄文プロジェクトを紹介する展示を行う。
- 平成29年度事業計画(案)について
4 委員からの主な提言
- 払田柵跡や世界文化遺産関連のビデオ等の映像があれば子どもたちも喜ぶのではないか。
- 1回の遺跡見学会で多くのが集まるということは、交流人口を拡大するためのツールにもなるのではないか。
- 展示場所として、あきた埋文への誘導や宣伝も兼ねて県地域振興局内にも展示できないだろうか。来所者も多いので、検討していただきたい。
- 観光パンフレットとして20頁程度のトレッキングガイドがある。県内10数か所の見学スポットや巡回コースがわかりやすく示されており、非常に人気があった。遺跡等に足を運んでもらうためには、報告書では一般の人にはなじみがないので、トレッキングガイドのような解説やコースなどがわかりやすく示されているものがあればPRする方法の1つになると思う。
- 「笑う岩偶づくり」など体験活動は、いろいろなイベントで労力をかけずにできるものなのか。そして作成するセットがあって体験するための素材が用意されているのであれば、観光のPRで展示物を出すときに来場した人に体験してもらう取り組みもできるのではないか。
- 大仙市ではサケを地域の資源として商品化しようとする動きがある。そのときに石器や土器に似せた製品(箸置きなど)をレストランや商店街などに提案できるのではないか。今後相談していきたい。
- 省スペースでもいいので、学校での展示ができないものか。
- 今年度、山形県遊佐町との共催事業があったが、今後も数年に1度は近隣の県外との共催事業を計画してもいいのではないか。例えば、バスツアーも道路事情もよくなってきていることから、岩手県や山形県、青森県などの遺跡や文化財を見学コースとして検討してみてはどうか。
- 外部講師による事業について、テーマと内容によっては埋蔵文化財センターの職員も講師に加わるようにしてはどうか。研究紀要や年報などいろいろな形で発表されているとは思うが、その人が持っている専門性や知識を広くPRしていくという意味でも検討してほしい。
- 職員も研究職としての役割を担ってほしいと考える。今後ももっと研究機関であることを広くPRできればいいと思う。