開館時間: 9:00〜16:00
休館日: 12/28~1/3, 成人の日, 建国記念の日(2/11), 春分の日

2007(平成19)年度

 このページでは、平成19年度に当センターを訪れていた甘粛省文物考古研究所の趙呉成さんの秋田県での活動の様子を紹介します。

交流員紹介

名前
趙建龍 Zhao Jian Long
所属
甘粛省文物考古研究所 史前室主任
抱負
発掘調査・整理作業の方法や秋田の伝統文化・自然について学びたいです。
主な発掘調査
秦安大地湾遺跡・礼県高寺頭遺跡・蘭州市紅古区下海石遺跡など
省で従事している
業務の内容
発掘調査・整理作業・報告書執筆など

これまでの研修内容

7月5日

蘭州市より北京・東京を経由して、午後7時に秋田空港に到着しました。
秋田空港に到着!いらっしゃい!!

7月9日

 趙さんが、センターに初出勤しました。
 リラックスした様子で、センター職員みんなの前、笑顔で挨拶をしてくれました。

7月11日

県教育庁表敬訪問・記者会見

 この日、お昼には秋田県教育長への表敬訪問と記者会見がありました。
記者会見の様子
右から熊谷センター所長、沢井県立博物館長、
趙交流員、尤交流員

7月20日

甘粛省交流員歓迎会

 夕方には県文化財保護室主催の歓迎会が催されました。
 県立博物館の尤宝銘交流員とも久々の再会です。
 途中、元県交流員との中国式ジャンケンなどが飛び出し、大変盛り上がりました。
秋田に来ての抱負を語る趙さん。

7月23日

遺物の洗浄作業に参加

 当センターの目の前にある国指定史跡払田柵跡では、今年も学術調査が行われています。
 本日は、払田柵跡から出土したばっかりの土器や石器を洗浄する作業に参加しました。
 甘粛省よりも脆い古代の土器を手に、慎重に作業を進めました。
奥が趙さんです。

7月25日

縄文発見・ワクワク体験に参加

 センター主催の「縄文発見・ワクワク体験」に参加しました。
 小学生や中学生が勾玉を作る姿をほほえましく見ながら、甘粛省ではこうした教育普及活動がまだなされていないので、大変参考になるとのことでした。
勾玉作りをする小学生に話しかける趙さん

7月30日~8月3日

遺跡の整理作業に参加

 埋蔵文化財センターで行っている釈迦内中台Ⅰ遺跡の整理作業に参加しました。土器の復元と実測、拓本、炉壁の接合、石器の実測について、日本式の方法を研修しました。中国と同じところよりも、違うやり方に大変興味があるようで、熱心に学んでいました。
 整理作業員から実際の作業を教わりながら、和やかな雰囲気で楽しく交流し、徐々に日本語(秋田弁?)にも慣れてきました。
土器の実測を研修中
和気あいあいとした研修風景

8月6日~8月10日

払田柵跡の発掘調査に参加

払田柵跡調査事務所で行っている国指定史跡払田柵跡の発掘調査に参加しました。途中から県立博物館で受け入れている尤 宝銘ヨウ・バオミン交流員も合流し、甘粛省の発掘とひと味違った日本の発掘方法を学びました。趙交流員は、「中国と違って日本の発掘方法は精密で、非常に細かいところまで観察して調査を進めている」との感想を述べていました。
一番手前が趙さん。その奥が尤さん。

8月7日

県立近代美術館・農業科学館を視察

 県南部の文化施設視察ということで、県立博物館の交流員の尤 宝銘ヨウ・バオミンさんも一緒に県立近代美術館と県立農業科学館に行きました。
 近代美術館ではちょうど「描かれた秋田展」を開催中で、それをじっくり見学したあと、特別に収蔵庫まで見せて頂きました。徹底的に管理された収蔵庫に感心していました。
 農業科学館でも、収蔵庫を見せて頂き、昔の農耕具や生活用品を見学し、雪国秋田に生きた人々の知恵と工夫に感嘆していました。
農業科学館で花火玉に興味津々
熱帯植物室にて

8月13日

県指定史跡一丈木遺跡(美郷町)を視察

 埋蔵文化財センターから近い一丈木遺跡を見学しました。復元住居をみて、「縄文時代は本当に植物質のもので屋根を葺いていたのでしょうか。日本のように台風や雨が多いところだと、モンゴルのパオみたいに、動物の皮を利用していたんではないでしょうか。」と、考えを巡らせていました。また、中国では、遺跡は集約的な遺跡群の様相を呈しますが、秋田県のこの地域はまばらに分散しているようだとの印象を持たれたようです。
竪穴住居跡の復元案について一過言。

8月14日

重要文化財古四王神社見学会(大仙市)に参加

 国重要文化財の古四王神社で開催された見学会に参加しました。感想は以下の通り。
「神社の規模は小さいですが、中国の木造建築の方法を多く取り入れているようですね。ただ、中国では力学的な原理と方法により、日本の神社のようには多くの木材を使うことはありません。古四王神社は古建築の風情をよく残しています。中国の寺院と比較して、木材を大量に使うことが日本の木造建築の特徴なのでしょうね。」
 中国の西北地区では木材が少ないので、木材をふんだんに使っている点がとくに印象に残ったのでしょうか。

9月25日~9月28日

森吉山ダムの発掘調査に参加

 森吉山ダムの発掘調査研修に参加しました。払田柵跡とはひと味もふた味も違う、縄文時代の一大遺跡群を目の当たりにして、非常に驚きました。興味津々です。
 当センター北調査課ではパソコンを使用したデジタル・トレースの研修もあわせて行い、「ぜひ、マスターして中国で使えるようにしたい」と意気込んでいました。

10月3日~10月6日

北海道・青森県の文化財関連施設視察研修

 北日本の歴史と文化を研修するため4日間の日程で、北海道・青森県の博物館や史跡、遺跡の発掘調査現場等を視察しました。
 自分の知っている日本とはちがった歴史や文化を学べて非常に有意義でした。
 秋田では見られない風景にも満足。
北黄金貝塚
北海道大学の発掘現場

10月15日

栗駒に紅葉を見学

 甘粛省交流員はみんな 日本の紅葉が大好き
 色とりどりの山に ただただ感動!
蘭州にいる家族にもみせてあげたい

10月30日

講演会の準備

 最近は、講演会の準備に忙しい日々を送っています。
 新石器時代の専門家として、どうやって講演すれば秋田の人たちに興味を持ってもらえるだろうか?
 色々な写真を用意して構成を工夫したりしています。
パソコンに向かって一所懸命

10月31日~11月2日

県立博物館での研修

 3日間の日程で、県立博物館での研修を行いました。
 とてもいい環境で、とくに青少年の教育の場として創意工夫が凝らされていてとても勉強になるとのことでした。
 別館の奈良家住宅のような公開展示にも感心していました。
 時間は余りありませんでしたが研究面だけでなく教育面にも力を入れている秋田県の博物館活動についてしっかり学べたようです。

1月5日

緊急帰国

 日本のお正月をのんびり味わった趙さんですが、1月2日にお父さんが急逝され、5日に緊急帰国となりました。
 まだまだ秋田でしたいことがたくさんあったのですが、秋田の皆さんに受けたご親切は忘れないとのことでした。
 秋田はとても色彩にとんだすばらしい県で、こうした土地で6か月間にわたって研修できたことに感謝しますとのことでした。

問い合わせ先
秋田県埋蔵文化財センター
〒014-0802 秋田県大仙市払田字牛嶋20番地
電話:0187-69-3331 FAX:0187-69-3330
E-mail : maibunweb@mail2.pref.akita.jp