令和元年度からは第10次5年計画として、次のような基本計画を立てた。
第9次5年計画(平成26~30年度)では、第7・8次に続き「払田柵跡の各地区における遺構内容及び場の機能の調査」として、トレンチ法を用いて実施した。 その中での重点区は、外柵地区(沖積地・微高地部)の調査で、外郭南門東方官衙域及び南西官衙域隣接地の沖積地を調査した。 また「払田柵跡関連遺跡の現況調査及び情報収集」と、史跡外にも視野を広げた計画を掲げ、平成26~28年度には、横手市雄物川町造山地区で試掘調査を実施した。
過去45年間の実績を踏まえ、払田柵跡の各地区における場の使われ方と詳細な遺構内容を把握し、歴史的意義や特色を明確にすることを目指し、第10次5年計画では次の調査を行う。
調査対象地区は、払田柵跡内全域ではあるが、特に外柵地区と真山を重点地区として進める。
沖積地・微高地部の調査は、外柵南東部を除くとほとんど行われてこなかったが、第8次5年計画において、小面積ながらも調査を進めることができた。 しかし水田として作付けが行われている地区があることから制限されることが多く、対象範囲も広大なため、引き続き「場の機能」解明のため、公有地を中心に、民有地の場合は地権者の同意を得た上で、トレンチ調査を実施する。その中でも、長森南西側~北西側裾部の沖積地を重点地区とする。
払田柵跡創建期の内容解明にとって重要な外柵地区(真山)の分布調査・遺構確認調査を実施する。
払田柵跡の解明には指定地内の調査に加え、指定地外の同時代関連遺跡の調査が必要である。そのために、関連資料・情報の収集、現地踏査を踏まえた上で可能であれば試掘調査を実施する。
また、一連の作業・調査を通じて県内各市町村との連携を深め、当事務所が蓄積している史跡発掘調査・研究についての実践的な技術指導、史跡の保存・活用に関する情報の提供等を行う。
当面は近年のほ場整備対応調査により奈良時代の集落遺跡が多数確認され、また瓦・硯など官衙関連遺物の出土も確認されている、横手市雄物川町造山地区周辺を対象とし、一定の成果蓄積を目指す。また南接する雄勝郡羽後町等において踏査を実施するとともに調査目的の周知及び働きかけを進め、以後の試掘調査等につなげていく。