平成11年度からは第6次5年計画として、次のような基本計画を立てた。
政庁の西にある平坦地には掘立柱建物、竪穴住居などからなる官衙域の存在が推定されるが、全く未調査である。
政庁東方地域での調査を踏まえ、政庁を中心とする東西両側の官衙のあり方と、その変遷を明らかにするため、この地域での調査を実施する。
外郭西門の内側の地域には平坦地は少ないが、政庁に連なる道路や、それに伴う遺構の存在が考えられる。
外郭西門の整備に合わせ、西門と政庁を結ぶ地域の遺構確認のための調査を実施する。
外郭南門の南西部にある低地では、大路の西側で10世紀代の掘立柱建物跡が検出されている。
この官衙は西へ拡がりが予想され、付近では昭和初期に石帯が採集されてもいる。
水田の公有化の見通しが進展したので、この地域における遺構のあり方を調査する。
年度 | 調査地 | 調査内容 | 発掘予定面積 |
---|---|---|---|
11 | 1.外郭西部 2.外郭西部 |
政庁西方の官衙域の調査 外郭西門東部地域の遺構分布調査 |
1,000㎡ 300㎡ |
計 | 1,300㎡ | ||
12 | 1.外郭西部 2.外郭西部 |
政庁西方の官衙域の調査 外郭西門東部地域の遺構分布調査 |
1,000㎡ 300㎡ |
計 | 1,300㎡ | ||
13 | 1.外郭西部 2.外郭西部 |
政庁西方の官衙域の調査 外郭西門東部地域の遺構分布調査 |
1,000㎡ 400㎡ |
計 | 1,400㎡ | ||
14 | 1.外郭西部 2.外郭南部 |
政庁西方の官衙域の調査 外郭西門東部地域の遺構分布調査 |
1,000㎡ 500㎡ |
計 | 1,500㎡ | ||
15 | 1.外郭南部 | 外郭西門東部地域の遺構分布調査 | 1,500㎡ |
合計 | 7,000㎡ |
第6次5年計画(平成11~15年度)は、過去25年間の調査成果と派生する課題を踏まえ、その後の調査や環境整備に資することを目的に、主に長森の各地区にどのような施設が存在するのかを足早に把握しようとした。
調査は長森西側から開始したが、調査にあたり、トレンチ法を採用したことで結果的には、少ない調査面積で多くの情報を得ることができた。 ここからは鉄・銅の金属加工(鍛冶・鋳造)に関連する工房跡が集中的、重層的に発見され、長森西部北側斜面が金属加工の場として使われていたことが明らかになった。