一昔前のような装いの、ねずみ家族の明るいにぎやかな光景があふれています。かあさんが大鍋で作る、とびっきりおいしいおしるこを待つ家族の表情はユーモラスで温かです。
おなじみの「あぶくたった にえたった にえたか どうだか たべてみよ」を繰り返して踊って待つ場面では、思わず一緒に口ずさんでしまいそう。「まだにえない」の応えに、もっと楽しくなります。アズキの煮立つ音、におい、湯気も感じられそうです。
読み手も一緒に、まだかまだかと待つ時間が流れます。ゆったりした流れの中に、丁寧に見る、嗅ぐ、感じる味わいがあり、その時間は心の宝物になります。大切な人と一緒に「待つ」ことを楽しむ経験を、子どもたちに味わってほしいです。
わらべ歌のイメージが、絵の力を借りて膨らみます。読み手も感情移入し、一体感も味わえるのがこの絵本の魅力です。
一つの鍋を囲む家族だんらんの風景には「幸せ」を感じます。「いただきまーす!」から、あっという間の「おかわり!」の展開にも笑いが。空っぽになったおわんとお鍋が、おいしかったことを教えてくれます。心も満腹になる絵本です。
ごちそうさまでした。
対象年齢 | 赤ちゃんから(0歳~ ) |
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作者名等 | さいとう しのぶ・構成・絵 |
出版社 | ひさかたチャイルド |