ねんねん ころりん

 

 
 表紙のねこちゃんの気持ち良さそうに眠る表情が、何ともかわいらしく印象的です。作者のふじもとのりこさんは、色鉛筆で丹念に描くリアルな絵が持ち味。幼い子どもの心を引きつける作品を多数制作しています。
 今回ご紹介する絵本にも、その魅力がたっぷりと詰まっています。赤ちゃん向けの絵本ですが、大人でもうっとりしてしまうような美しさです。
 「ねこちゃん ねむねむ ねんころり」の言葉に合わせてあくび。丸くなった後「ねんねん ころり ねん……ころりん!」と寝返りをするねこちゃん。
 続いてすやすやと眠るわんちゃんやうさちゃん、人間の赤ちゃんも登場します。それぞれ愛らしいお顔で寝ていたと思ったら「ねんねん ころり ねん……ころりん!」と寝返り。
 リズミカルな言葉とともに、みんなちょっぴりユニークな姿を見せてくれます。ふわふわの毛並みや目をつぶる表情が写実的で、すぐそばで寝息が聞こえてくるように感じられます。
 絵本の中で繰り返される「ねんねん ころり ねん……ころりん!」という言葉に合わせて、親子でふれあい遊びをするのも楽しいですね。幸せな気持ちがほんのりと広がるような一冊です。

 
 佐々木千恵(秋田市立中央図書館明徳館)

(令和7年2月15日秋田魁新報掲載)

 

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対象年齢 赤ちゃんから(0歳~ )
作者名等 ふじもと のりこ・作
出版社 世界文化社