さがしえ12つき

 

 
 今年も一年が始まりましたね。この本では、彩り豊かな一年間が楽しく展開します。描かれているのは、身近にあるこまごまとした品々や四季折々の行事。タイトル通り、探し絵として遊ぶことはもちろん、日本の伝統的な文化に親しむこともできます。
 まずは1月、お正月から始まります。こたつの上には年賀状とおせち料理、そしてお待ちかねのお年玉袋。畳の上には福笑いやすごろくなど昔ながらの遊び道具が置かれています。
 次は2月、節分の日です。恵方巻きを食べているおばあちゃんと、鬼に泣いている女の子。軒下にぶら下げられた柿や大根は、冷たい風の季節だということを感じさせます。
 どことなくユーモラスな画風も魅力的ですが、何より読者を引きつけるのは、ごく一般的な家庭の様子が描かれていることでしょう。てるてる坊主を見上げたり、夏祭りでラムネを飲んだり。少し懐かしいものも登場しますが、家の中にあるもの、知っているもの、体験したことを見つけることができます。
 大人も子どもも、探し絵絵本として楽しみながら、日本の気候と上手に付き合ってきた昔の人たちの知恵と工夫を感じられると思います。

 
 
 柴田麻衣子(横手市職員・司書)

(令和7年1月11日秋田魁新報掲載)

 

2024あふれちゃんのえほんばこへ進む

対象年齢 3歳ぐらいから
作者名等 なかざわ くみこ・著
出版社 白泉社