おいしいものが食べたくなったおじいさん。「ばあさんや、ひとつ、おだんごぱんをつくってくれないか」とお願いをします。おばあさんは、こなばこをごしごしかいて粉を集め、おだんごぱんを作ります。ほかほかに焼きあがったおだんごぱんは、窓のところで冷やされます。けれどもじいっとしているうちに寂しくなってきて家から逃げ出してしまうのです。
野原にころころ転がっていったおだんごぱん。動物たちが次々とやってきて「おまえをぱくっとたべてあげよう」と声をかけます。それに対し、おだんごぱんは歌をうたって「おまえなんかにつかまるかい」と言ってうまく逃げかわすのです。
ところが最後におだんごぱんに声をかけたきつねはちょっと違いました。きつねはおだんごぱんの姿形や歌を褒めたたえ、口の中に誘導したのです。おだんごぱんの運命はいかに…。
リズムのいい歌の繰り返しと脇田和さんの落ち着いた絵が、ロシアで語り継がれてきた昔話の雰囲気を存分に出しています。長年、たくさんの子どもたちに楽しまれてきた絵本です。「ぼくは、てんかの おだんごぱん」と自慢げに歌うおだんごぱんのお話を、ぜひ親子でドキドキしながら楽しんでください。
田丸美穂(秋田県子ども読書支援センター)
(令和6年11月30日秋田魁新報掲載)
対象年齢 | 5歳ぐらいから |
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作者名等 | せた ていじ・訳/わきた かず・絵 |
出版社 | 福音館書店 |