~もりのなか ~

 
 この絵本は、第2次世界大戦中のアメリカで1944年に出版され、それからずっと愛され続けてきました。
 主人公のぼくは森に出かけ、らいおんやぞう、くまなどに会い、みんなで遊びます。
 かくれんぼうをしていたら、お父さんがぼくを迎えに来ました。すると、動物はみんな消えてしまいます。「きっと、またこんどまでまっててくれるよ」とお父さん。ぼくは、次に来たらみんなを探すよ、と叫び、お父さんの肩車で帰ります。
 こんな時、大抵の親は子どもを無理やり連れ帰り、さらに叱ってしまいます。でも、このお父さんは遊びが終わっていないことをちゃんと分かって、説得してくれました。
 作者のエッツは過酷な人生を送りました。結婚してすぐ夫を亡くし、落ち込んだエッツは、社会福祉活動に励みます。しかし国外での活動のために受けた予防注射のミスで、健康を害してしまいます。後に結婚したエッツ博士も病気で失いました。
 エッツは90歳まで絵本を書き続けました。その人生から生まれた、素晴らしい絵本をぜひ読んでみてください。
 
 
 遠藤美弥子(おはなしの会「おはなしの扉」)

(令和6年11月9日秋田魁新報掲載)

 

2024あふれちゃんのえほんばこへ進む

対象年齢 3歳ぐらいから
作者名等 マリー・ホール・エッツ・文・絵/まさき るりこ・訳
出版社 福音館書店