くらやみヤミー

 
「いやだ、いやだ、まだ眠りたくな~い!」。そんなことを言って、ヤミーを困らせないでね。
 だって、ヤミーは、くらやみのおばけだから。あなたのベッドの下で、あなたがおやすみなさいと言うのを、首を長くして待っています。
 ヤミーは、夜になるとベッドの下からはい出て、窓からこっそり町へ繰り出します。体を大きく膨らませ、自由自在に動いて、それぞれの夜を過ごしている顔見知りさんにごあいさつに行きます。
 ナイトパーティーも楽しんじゃうぞ。「いやっほっほ~い」。はしゃぎすぎてトラックの上でひと休みしていたら、夜の海に運ばれてしまいました。
 見上げると、満天の星たちが恥ずかしそうに輝いています。くらやみの中、キョロキョロと光っているのは、ヤミーのお目目。とってもうれしそう。今度は星たちと夜の大空で変身ごっこやバスハイク。
 でも、楽しい時間はあっという間です。そろそろ空が明るくなってきました。
 ヤミーは、急いでお家へ帰ります。抜け出した窓にはい上がり、あなたが目を覚ました頃には、ベッドの下に潜り込んで、ヤミーはおやすみなさいの時間です。
 
 
 佐藤郁(鹿角市立花輪図書館)

(令和6年11月2日秋田魁新報掲載)

 

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対象年齢 5歳ぐらいから
作者名等 イ・ヨンリム・作/たかはし まさこ・訳
出版社 BL出版