おちばのほん

 ガサガサ、パリパリ、サクサク。落ち葉を踏んで歩く時の音が、私は大好きです。皆さんは「落ち葉」と言って思い浮かべる季節はいつですか? 多くの方は「秋」と答えるのではないでしょうか。
 この絵本では、春に葉っぱを入れ替えるくすのきや、こいのぼりが泳ぐころに入れ替わるゆずりはなど、秋以外の季節の落ち葉も紹介されています。
 四季折々のさまざまな落ち葉が風で落ちて運ばれ、雨や雪にさらされ、やがてみみずやひめやすで、だんごむしに食べられて…。静かに腐って1年、2年、5年、10年と時間が経過し、大地の土になるまでの落ち葉の物語が色鮮やかに描かれています。
 物語の後には「なぜ落ち葉がいろいろな色になるか?」や「葉っぱが落ちるしくみ」などについて解説されています。落ち葉での遊び方や工作なども紹介されており、この一冊があれば落ち葉を目いっぱい楽しむ事ができます。
 葉が落ち、裸になった木を見て寂しい気持ちを抱く人も少なくないでしょう。冬に向かう物寂しさも、この本を片手に落ち葉と触れ合うことで紛れるのではないでしょうか。普段とは違う季節の感じ方ができるかもしれませんよ。
 
 

 林一輝(NPO法人ファザーリング・ジャパン東北)

(令和6年10月12日秋田魁新報掲載)

 

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対象年齢 小学校低学年ぐらいから
作者名等 いわさ ゆうこ・著
出版社 文一総合出版