一年一組せんせいあのね こどものつぶやきセレクション

 子どもたちの素直な言葉が一冊の詩集になりました。選者は小学校の教員だった鹿島和夫さん。担任した一年生が日記ノート『あのね帳』に書いたものをまとめています。
 テーマはさまざま。自分たちに鉄棒をさせる先生は一回もやらないこと。弟がお風呂の中でおしっこをした後で、お父さんがお風呂の中で顔を洗ったこと。淡々と事実を語っただけなのに面白いのは、そのときの彼らの気持ちもしっかりと伝わってくるからでしょう。
 笑いを誘う詩があったかと思うと、深く感じ入ってしまう詩もあります。お母さんが外で働いている子は、「ただいま」に誰も答えてくれないけれど、自分の心の中でお母さんが返事をしてくれる、とつぶやきます。
 収められている詩は54編。子どもの心の動きが手に取るように感じられる、みずみずしい作品ばかりです。「においだよ」ではなく「によいだよ」、「たいじゅうそくていがあったのよ」ではなく「たいじゅうそくていがあたのよ」など、つたない言葉遣いや誤りをそのままにしているのもほほ笑ましいもの。添えられた絵とともに楽しみながら味わってください。
 

柴田麻衣子(横手市職員・司書)

(令和6年9月21日秋田魁新報掲載)

 

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対象年齢 小学校低学年ぐらいから
作者名等 鹿島和夫・選、ヨシタケシンスケ・絵
出版社 理論社