まってるまってる

  
 
 たんぽぽのつぼみが開くのを待ち焦がれていたのは、みつばちだけでしょうか? いいえ、ページをめくってみたら、こんなにたくさんの虫たちが待っていたよ! 
  チョウチョや、テントウムシ、カメムシ、イモムシ、ハサミムシ…。おいしい花の蜜を吸ったり、葉っぱの滑り台でダンスやダイビングをしたり。みんなウキウキしているよ。
  雨ばっかり降る梅雨には、カエルやアメンボウ、どでかいゲンゴロウがじょぷん、ちょぷんと水遊び。土の中ではセミの子が、今か今かと出番を待っているよ。
  昼の炎天下から一転、うっそうとした森の夜は、クワガタ、ヤママユガ、コガネムシたちが、飲みすぎ注意の甘い樹液カーニバル。
  真っ赤っかに葉っぱが色づくと、ゾウムシは木の実の玉乗りや、落ち葉のトランポリンにケラケラ、楽しいな。キノコの味見をしているのはだーれだ。
  やがて、森の木々はやせ、あたり一面、真っ白な雪野原に。あら、いつの間にか静かになりましたよ。みんなおやすみなさい。土のおふとんに変わるまで待っててね!

佐藤 郁(鹿角市立花輪図書館)

(令和6年6月22日秋田魁新報掲載)

 

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対象年齢 5歳ぐらいから
作者名等 近藤 薫美子・作・絵
出版社 教育画劇