みずたまレンズ

  
 雨降りの日には、ついつい太陽が恋しくなりますね。でも少しだけ視点を変えてみると、興味深い発見があります。雨にぬれ、あちらこちらにつく丸いみずたま(水滴)です。今回は、そんなみずたまにクローズアップした写真絵本を紹介します。
 雨上がりに自然をよく見ると、クモの巣にはキラキラと光り輝くビーズのようなみずたまがたくさんひっかかっています。あじさいの花にこぼれた雨のつぶは滑り落ちて一つのたまになります。地面の水たまりにぽたりと落ちると、水面で跳ねて大きく膨らみ、弾けた後でまたみずたまになりました。水の動きをスローモーションで見ているような感覚で楽しめます。
 ハチやバッタなどの体の上や目の前にも、大きなみずたまがあります。虫たちはぶつからないように、滑らないように歩いているようにも見えます。
 小さな虫になったつもりでそっとのぞきこんでみると、どんな風景が映るのでしょう?みずたまレンズを通して何とも不思議で幻想的な水の世界が広がります。
 この絵本を読んだ後には、実際に自分の目で観察してみたくなるかもしれません。いろいろな場所でみずたまを見つけて、雨上がりの楽しさを感じてみてはいかがでしょうか。

佐々木 千恵(秋田市立中央図書館明徳館)

(令和6年6月15日秋田魁新報掲載)

 

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対象年齢 3歳ぐらいから
作者名等 今森 光彦・作
出版社 福音館書店