卵からかえったオタマジャクシがカエルになるように、生き物が成長の過程で姿を変えることを「変態」といいます。この本では「へんしん」と親しみやすく表現しています。
まずはオタマジャクシから。もりもり食べて「へ~んしんっ!」。すると、自慢げな表情を浮かべた立派なカエルに。ホタルやチョウも、もりもり食べて、幼虫からサナギへ、サナギから成虫へと姿を変えます。チョウが変身するかけ声は「へ・ん・し・ん」。きらびやかな姿を誇らしそうにしています。
繰り返される「もりもり」も、個性あふれる「へんしん」も、リズミカルで楽しいです。何より、たくさん食べて準備を整えた生き物たちの「へんしん」のかけ声がヒーローのようでかっこいい。
私たち人間は変身できなくて残念、と思っていたら、最後に登場したのは人間の子ども。ほかの生き物たちと同じようにもりもり食べていますが、さてどんな変身を見せてくれるのでしょうか。
作者は動物園で広告や看板などのデザインを手がけていて、仕事場ではさまざまな生き物が飼育されているそうです。成長の瞬間を目撃した驚きと感動が、この本に満ちています。
柴田 麻衣子(横手市職員・司書)
(令和6年5月25日秋田魁新報掲載)
対象年齢 | 3歳ぐらいから |
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作者名等 | 北村 直子・作 |
出版社 | こぐま社 |