おまつりおばけ

 今年もおまつりのシーズンがやってきましたね。今回はそんな今の時期にぴったりな絵本を紹介します。
 おばけの家族が、おまつりに行く準備をしています。おばけの子どもたちは大喜びです。すると、窓にあやしい人影が…。おばけの子どもたちは一体どうなってしまうのでしょう? 
 貼り絵を使ったせなけいこさんの独特なイラストは、子どもも大人もその絵の世界に引き込む魅力があります。特に、おばけの子どもたちが色を塗られ、カラフルな風船おばけになってしまう場面は見どころです。
 3歳から4歳の子どもたちに読み聞かせると、注目を集めたのは、あやしい人影が出てくる場面。年齢によってわくわくどきどきする場面は異なると思いますが、子どもたちはおばけもおまつりも大好きなようです。
 おばけの子どもたちがはしゃいでいる顔、泣いている顔、喜んでいる顔…。表情が豊かなところも見ていて楽しいです。おばけにとっても、おまつりは楽しいものなんですね。家族でお出かけし、一緒に過ごすうれしさも感じられると思います。この夏におすすめの絵本です。お子さんと一緒に、ぜひ楽しんでみてください。
 
 
佐竹 美緒(秋田市河辺保育所)

(令和5年8月12日秋田魁新報掲載)

 

2023あふれちゃんのえほんばこへ進む

有名なグリムの昔話です。母やぎが森へ食べ物を探しにいくあいだ留守番をすることになった七ひきのこやぎ。母やぎからは狼に気をつけるようにいわれます。狼の見分け方はしわがれ声と足が黒いことです。
 まもなくやってきた狼は、こやぎたちが声や足で狼を見分けると知ると、白墨で声を綺麗にし、ねりこと粉で足を白くしてきます。そしてだまして戸を開けさせ、こやぎたちを次々に飲み込んでいってしまいます。助かったのは時計の箱にかくれていた一番末のこやぎだけでした。
 母やぎの悲しみは計り知れません。けれども狼のお腹の中で生きていることがわかると、こやぎたちを助けるためにすばやく動きます。
 この絵本の最後では悪い狼が死に、それをみたこやぎたちが「おおかみしんだ」と叫び、母やぎと一緒に踊りまわります。いっけん残酷に思われるような終わり方です。
 けれども、こやぎたちに気持ちを寄せてお話を聞く小さな子にとって、悪い狼の死は恐怖から解放、叫び声は安心した喜びの声に感じるのではないでしょうか。母やぎのこやぎたちへの愛情や親としての強さ頼もしさもしっかりと伝わってきます。
 繊細で美しい絵と、優しく語り掛けるような丁寧な訳が特徴の長く読み継がれてきた絵本です。
 プールの季節がやってきました。皆さんは泳げますか? 泳げるようになりたい人は、ぜひこの絵本を読んでみてください。
 絵本によれば、イヌもネコもゾウもライオンも、みんな泳げます。だって体が水に浮くのですから。では、人間はどうでしょう? お風呂で試してみましょう。力を抜くと、手も足も浮かんできますね。しかも、動物も人間も、体の中に「うきぶくろ」があります。息をいっぱい吸うと、肺の中の空気が「うきぶくろ」の働きをして、体が水に浮きやすくなるのです。
 「はい、そうですね」と泳げるようになれたら簡単ですが、なかなかそうはいきません。でも大丈夫。絵本ではちゃんと、プールでの練習方法も教えてくれます。
 初めに、ゆっくりと歩く。それから走る、浮かぶ。おっとその前に、水のかけ合いっこで、顔がぬれても平気になろう。次は水の中で息を吐く練習。水の中で目を開けられるかな? 体を丸めると、ほら、浮いた。それから手を持ってもらって、横になる。そして足をばたばたさせると、前に進む。泳げるぞ。
 あとはプールで試してみるだけですね。どうぞ皆さん、良い夏をお過ごしください。
対象年齢 赤ちゃんから(0歳~ )
作者名等 くろだ かおる・作、せな けいこ・絵
出版社 フレーベル館