ひまわり 

 太い茎とずっしりした花、びっくりするほどぎっしりついた種。かわいいというイメージには当てはまりませんが、ひまわりって素敵です。この絵本は、種をまいて花が咲き、また種ができるまでのひまわりの全てを、美しい絵で教えてくれます。
 ひまわりは小さい苗のころから、お日様の方へ茎の向きを変えます。どの葉っぱも重ならず、上手に光を集めています。十分に大きくなると、茎のてっぺんにつぼみができます。つぼみは上に向かって伸びますが、やがて横向きになります。
 さあ、いよいよ開花です。つぼみを包んでいた葉が開き、黄色い花びらが見えてきます。細く閉じていた花びらが全て開き、お日様そっくりなひまわりの花が咲きます。
 内側の粒々に見える部分、実はこれも花です。ひまわりの大きな花は、たくさんの小さな花が集まってできています。内側の花が全部咲くと、花全体が重みで下を向きます。内側の花は、一つ一つが種になります。大きいひまわりだと2千個以上の種が取れることもあるそうです。
 ひまわりは北アメリカ原産で、日本には17世紀中頃に伝わったそうです。ひまわりの種、まいてみたくなりました。
 

遠藤 美弥子( おはなしの会「おはなしの扉」 )

(令和5年7月22日秋田魁新報掲載)

 

2023あふれちゃんのえほんばこへ進む

有名なグリムの昔話です。母やぎが森へ食べ物を探しにいくあいだ留守番をすることになった七ひきのこやぎ。母やぎからは狼に気をつけるようにいわれます。狼の見分け方はしわがれ声と足が黒いことです。
 まもなくやってきた狼は、こやぎたちが声や足で狼を見分けると知ると、白墨で声を綺麗にし、ねりこと粉で足を白くしてきます。そしてだまして戸を開けさせ、こやぎたちを次々に飲み込んでいってしまいます。助かったのは時計の箱にかくれていた一番末のこやぎだけでした。
 母やぎの悲しみは計り知れません。けれども狼のお腹の中で生きていることがわかると、こやぎたちを助けるためにすばやく動きます。
 この絵本の最後では悪い狼が死に、それをみたこやぎたちが「おおかみしんだ」と叫び、母やぎと一緒に踊りまわります。いっけん残酷に思われるような終わり方です。
 けれども、こやぎたちに気持ちを寄せてお話を聞く小さな子にとって、悪い狼の死は恐怖から解放、叫び声は安心した喜びの声に感じるのではないでしょうか。母やぎのこやぎたちへの愛情や親としての強さ頼もしさもしっかりと伝わってきます。
 繊細で美しい絵と、優しく語り掛けるような丁寧な訳が特徴の長く読み継がれてきた絵本です。
 プールの季節がやってきました。皆さんは泳げますか? 泳げるようになりたい人は、ぜひこの絵本を読んでみてください。
 絵本によれば、イヌもネコもゾウもライオンも、みんな泳げます。だって体が水に浮くのですから。では、人間はどうでしょう? お風呂で試してみましょう。力を抜くと、手も足も浮かんできますね。しかも、動物も人間も、体の中に「うきぶくろ」があります。息をいっぱい吸うと、肺の中の空気が「うきぶくろ」の働きをして、体が水に浮きやすくなるのです。
 「はい、そうですね」と泳げるようになれたら簡単ですが、なかなかそうはいきません。でも大丈夫。絵本ではちゃんと、プールでの練習方法も教えてくれます。
 初めに、ゆっくりと歩く。それから走る、浮かぶ。おっとその前に、水のかけ合いっこで、顔がぬれても平気になろう。次は水の中で息を吐く練習。水の中で目を開けられるかな? 体を丸めると、ほら、浮いた。それから手を持ってもらって、横になる。そして足をばたばたさせると、前に進む。泳げるぞ。
 あとはプールで試してみるだけですね。どうぞ皆さん、良い夏をお過ごしください。
対象年齢 5歳ぐらいから
作者名等 荒井真紀・文・絵
出版社 金の星社