果物は好きですか? この絵本の表紙には、サクランボがいっぱい描かれています。背景が白いお皿のようで、サクランボのみずみずしさが際立っています。「一番大きいのはこれ」「こっちのほうが真っ赤だよ」「これは三つ子だね」など、表紙だけでも親子の会話が弾みそうです。絵本には、スイカやモモ、ブドウ…。果物が次々と登場します。
果物はまず、全体像が描かれます。次のページでは、食べやすい形に切られていたり、お皿に盛られていたり。そして、「さあ、どうぞ。」という言葉とともに差し出されます。写実的な絵と言葉かけから、果物のおいしさが口の中に広がるような気分になります。
熟したスイカからは味と香りが、ビロードのような質感のモモからはとろけるような甘さが、コロンとしたリンゴからはシャキシャキとした歯触りが、真っ赤なイチゴからは粒々した食感と甘酸っぱさが伝わってくるようです。
絵本に出てきた四季折々の果物をお店で見つけたり、食べたりするのも喜びにつながると思います。絵本でもぜひ、果物のおいしさを思う存分味わってみてください。
田丸美穂( 秋田県子ども読書支援センター )
(令和5年6月10日秋田魁新報掲載)
対象年齢 | 赤ちゃんから(0歳~ ) |
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作者名等 | 平山和子・作 |
出版社 | 福音館書店 |