はたらくくるまたちの かいたいこうじ

 個性豊かな働く車たちが、力を合わせて大活躍する絵本です。車たちを擬人化した表現に、驚いたり応援したり、お話に夢中になりそうです。 
 さあ、朝日が昇り、工事現場に集まってきた車たち。今日の仕事は古くなった建物の解体です。初めの作業はクレーン車。ブームを伸ばし、建物めがけて鉄の玉を振り上げます。玉は建物に命中し、壁や柱は粉々です。がれきを運び出すのはダンプカーとトラック。その後も車たちが続々と登場、それぞれの仕事に取りかかります。
 作業の様子は詳しく描かれ、スピード感にあふれています。ついに建物は土煙を上げて崩れ落ち、工事は大成功。仕事をやり遂げた車たちの後ろ姿は、クールの一言です。
 最後にミキサー車が、建物の跡地にコンクリートを流し込みます。新しく工事ができるようにするためです。こうして夕日が沈む頃、車たちの仕事は終わりました。 
 一日を精いっぱい生きる力を車たちが物語っているようです。そんな絵本との出合いをぜひどうぞ!

仁村 由美子( 聖霊女子短期大学付属幼稚園・保育園 )

(令和5年5月27日秋田魁新報掲載)

 

2023あふれちゃんのえほんばこへ進む

有名なグリムの昔話です。母やぎが森へ食べ物を探しにいくあいだ留守番をすることになった七ひきのこやぎ。母やぎからは狼に気をつけるようにいわれます。狼の見分け方はしわがれ声と足が黒いことです。
 まもなくやってきた狼は、こやぎたちが声や足で狼を見分けると知ると、白墨で声を綺麗にし、ねりこと粉で足を白くしてきます。そしてだまして戸を開けさせ、こやぎたちを次々に飲み込んでいってしまいます。助かったのは時計の箱にかくれていた一番末のこやぎだけでした。
 母やぎの悲しみは計り知れません。けれども狼のお腹の中で生きていることがわかると、こやぎたちを助けるためにすばやく動きます。
 この絵本の最後では悪い狼が死に、それをみたこやぎたちが「おおかみしんだ」と叫び、母やぎと一緒に踊りまわります。いっけん残酷に思われるような終わり方です。
 けれども、こやぎたちに気持ちを寄せてお話を聞く小さな子にとって、悪い狼の死は恐怖から解放、叫び声は安心した喜びの声に感じるのではないでしょうか。母やぎのこやぎたちへの愛情や親としての強さ頼もしさもしっかりと伝わってきます。
 繊細で美しい絵と、優しく語り掛けるような丁寧な訳が特徴の長く読み継がれてきた絵本です。
対象年齢 3歳ぐらいから
作者名等 シェリー・ダスキー・リンカー・文、AG・フォード・絵、福本友美子・訳
出版社 ひさかたチャイルド