あかにんじゃ

 おいらは「あかにんじゃ」。赤だから、チョイと目立つが、心配ないさ!  
 あかにんじゃの得意は変身の術。ひみつのまきものを狙って、おしろに忍び込む。オーットッと、追い詰められたら、「ドロンドローン」。どうだい! すごいだろ、おいらがどこにいるか、分かるかい? 
 「にんじゃ」なんて、今どき、いないと思っていませんか。でも、違うのです。実は、お侍さんの時代から本当にいるのです。見つかりそうになったら、変身してしまうから気がつかないだけです。よく見ると、町のどこかに潜んでいます。
 絵本の中の、色鮮やかなあかにんじゃは、多くを語りません。ピンチになったら「ドロンドローン」とじゅもんを唱えて大変身。赤いからすぐに見つかってしまいますが、そこにいたかと思うと、別の世界にひとっ飛び。お子さんと一緒に絵本のページをめくりながら、あかにんじゃを見つけるのも楽しいですね。緑深い爽やかなこの季節、お散歩がてら、あかにんじゃを探しにいくのはどうでしょう。見つけた赤色は、もしかして、もしかして。

佐藤 郁( 鹿角市立花輪図書館 )

(令和5年5月13日秋田魁新報掲載)

 

2023あふれちゃんのえほんばこへ進む

有名なグリムの昔話です。母やぎが森へ食べ物を探しにいくあいだ留守番をすることになった七ひきのこやぎ。母やぎからは狼に気をつけるようにいわれます。狼の見分け方はしわがれ声と足が黒いことです。
 まもなくやってきた狼は、こやぎたちが声や足で狼を見分けると知ると、白墨で声を綺麗にし、ねりこと粉で足を白くしてきます。そしてだまして戸を開けさせ、こやぎたちを次々に飲み込んでいってしまいます。助かったのは時計の箱にかくれていた一番末のこやぎだけでした。
 母やぎの悲しみは計り知れません。けれども狼のお腹の中で生きていることがわかると、こやぎたちを助けるためにすばやく動きます。
 この絵本の最後では悪い狼が死に、それをみたこやぎたちが「おおかみしんだ」と叫び、母やぎと一緒に踊りまわります。いっけん残酷に思われるような終わり方です。
 けれども、こやぎたちに気持ちを寄せてお話を聞く小さな子にとって、悪い狼の死は恐怖から解放、叫び声は安心した喜びの声に感じるのではないでしょうか。母やぎのこやぎたちへの愛情や親としての強さ頼もしさもしっかりと伝わってきます。
 繊細で美しい絵と、優しく語り掛けるような丁寧な訳が特徴の長く読み継がれてきた絵本です。
対象年齢 5歳ぐらいから
作者名等 穂村弘・作、木内達朗・絵
出版社 岩崎書店