こんちゅうかくれんぼクイズ

 皆さんはバッタと言うと何色を思い浮かべますか? 緑、茶、黒? これらの色のバッタは、実際に私たちの身の回りに生息しています。バッタは生息する環境によって色が違うのですが、それはなぜでしょう?
 バッタだけではなく、自然には花や木、葉っぱなどに上手に紛れている虫たちが数多くいます。その理由は二つあります。一つは、天敵に食べられないようにして自分の身を守るため。もう一つは獲物を捕まえやすくするためです。
 この本には、バッタやカマキリ、ナナフシなどビックリするほど上手に自然に同化(擬態化)した虫たちが登場します。親子でかくれんぼクイズに挑戦し、楽しみながら擬態した虫の生態に触れてみてください。
 5月は新緑が美しい季節。お出かけ日和も多いと思いますので、ぜひお子さんと外に出てみてください。この本を読んだ後は、今までと違った視点で身の回りの自然を見られるはずです。
 かくれんぼしている虫たちを、子どもと大人でどっちが多く見つけられるか、勝負しても面白いかもしれませんね。

林一輝(NPO法人ファザーリング・ジャパン東北)

(令和5年5月6日秋田魁新報掲載)

 

2023あふれちゃんのえほんばこへ進む

有名なグリムの昔話です。母やぎが森へ食べ物を探しにいくあいだ留守番をすることになった七ひきのこやぎ。母やぎからは狼に気をつけるようにいわれます。狼の見分け方はしわがれ声と足が黒いことです。
 まもなくやってきた狼は、こやぎたちが声や足で狼を見分けると知ると、白墨で声を綺麗にし、ねりこと粉で足を白くしてきます。そしてだまして戸を開けさせ、こやぎたちを次々に飲み込んでいってしまいます。助かったのは時計の箱にかくれていた一番末のこやぎだけでした。
 母やぎの悲しみは計り知れません。けれども狼のお腹の中で生きていることがわかると、こやぎたちを助けるためにすばやく動きます。
 この絵本の最後では悪い狼が死に、それをみたこやぎたちが「おおかみしんだ」と叫び、母やぎと一緒に踊りまわります。いっけん残酷に思われるような終わり方です。
 けれども、こやぎたちに気持ちを寄せてお話を聞く小さな子にとって、悪い狼の死は恐怖から解放、叫び声は安心した喜びの声に感じるのではないでしょうか。母やぎのこやぎたちへの愛情や親としての強さ頼もしさもしっかりと伝わってきます。
 繊細で美しい絵と、優しく語り掛けるような丁寧な訳が特徴の長く読み継がれてきた絵本です。
対象年齢 3歳ぐらいから
作者名等 須田孫七・監修 片野隆司・写真 NNP、アマナイメージス・写真提供
出版社 ひさかたチャイルド