新型コロナウイルスの流行で足止めされていた人々が、観光地やイベントに繰り出しています。乗り物に乗ることも増えますね。今回紹介する絵本は、電車の「音」の絵本です。
文字はただただ、電車の音です。「たたっ つつっつつ たたっ つつっつつ どどん」「ぼっ しょん しょん しょん」
駅や線路の周りには花屋さんや床屋さんがあります。別のページには、前に登場した花屋さんの配達車が止まっています。働いている人、道端で話している人たち、ホームにいるお相撲さんも、線路沿いの神社に建つキツネの石像まで、にこやかな笑顔です。絵とともに文を見れば、しっかりと電車の音になって響いてきます。
文の三宮麻由子さんは、4歳で視力を失いました。「音を聞くときは真っ白な耳で」と語っています。音は、目には見えません。言葉も、目には見えません。どちらも真っ白な耳で聞いて、心に響かせたいものですね。
線路の両側には、花がたくさん。電車はその中を、穏やかに、歌うようにリズムを刻んで通り過ぎていきます。春もたけなわ、さあ、電車に乗ってお出かけしてみませんか。
遠藤美弥子( おはなしの会「おはなしの扉」 )
(令和5年4月29日秋田魁新報掲載)
対象年齢 | 3歳ぐらいから |
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作者名等 | 三宮麻由子・文 みねおみつ・絵 |
出版社 | 福音館書店 |