真新しいランドセルが行き交う季節になりました。本の主人公「もも」も、1年生になったばかりです。慎重すぎるももは忘れ物をしたくないので、持ち物を毎日何度も確認します。そして、たくさんの荷物を持って登校します。
そんなももを、「ももっち、ヤドカリみたいだな」と言うのは、同じクラスのかずま君です。かずま君は、ももと正反対。楽天家で、教科書もノートも学校に置きっぱなし。ランドセルの中には筆箱だけ。忘れ物をしても平気です。ももは、かずま君が先生に叱られることを考えただけでドキドキしてしまいます。でもかずま君は、先生に注意されても、クラスのみんなに笑われても、気にしません。ももは、そんなかずま君を不思議に思っています。
心配性のももと、そんなももをおもしろいと言うかずま君。対照的な2人の会話をテンポよく楽しく読めます。
大人だって初めてのことには不安があるものです。まして、子どもが感じる不安は大きいでしょう。新しい出会いがたくさん待っている子どもたちに、心を軽くするお手伝いをしてあげたいですね。
伊藤 麻衣子( 横手市職員・司書 )
(令和5年4月15日秋田魁新報掲載)
対象年齢 | 小学校低学年ぐらいから |
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作者名等 | 工藤純子・作、吉田尚令・絵 |
出版社 | 金の星社 |