へそもち

 1966年の初版から息の長い絵本です。表紙には凧に乗って悠々と飛んでいる「かみなり」が描かれ、腰のかごには、へそのようなものが見えます。これこそが「へそもち」です。
 絵本は横に開くものが多いですが、この本は縦に開きます。空の上の雲に住むかみなりと地上の村人達が伸びやかに描かれ、迫力があります。画家の赤羽さんの描く力強い線と奥行きのある背景や色使いが、お話の世界観にぴったりとはまり、見る人を引きつけます。
 かみなりは雨を降らすのが仕事です。火打ち石をたたき、太鼓を打ち鳴らして、ざあざあ雨を降らせます。ある日は牛小屋の屋根に飛び降りて牛を驚かせ、ある日にはおけ屋さんへ飛び降りておけを壊し、またある日は瀬戸物屋さんの品物を割ってしまいます。さらに皆が皆、おへそを取られて、力が入らなくなってしまいました。
 そこで村の和尚さんが知恵をしぼり、かみなりを捕まえるため、寺の五重塔のてっぺんにやりをくくりつけます。そのやりに飛び降りたかみなりはどうなるのか、そしてどうして「へそもち」を持って帰ることになるのか。親子で物語を楽しんでください。

仁村 由美子(聖霊女子短期大学付属幼稚園・保育園)

(令和6年2月17日秋田魁新報掲載)

 

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対象年齢 5歳ぐらいから
作者名等 渡辺茂男・作、赤羽末吉・絵
出版社 福音館書店