外柵には東西南北に4つの門が設けられる。
東門だけは政庁を中心にして、北東を向いているが、これは長森の東半分が北東方向を向いていて東門はその端に位置することによるものであろう。
これらの門はいずれも桁方向に4本、梁方向に3本、計12本の柱をもつ、掘立柱式の門である。
このうち、最も良く保存されているのは外柵南門で、昭和5年、50年、平成4年の3回にわたって調査が行われた。
昭和5年の文部省による調査後に、高梨村では門柱を結ぶ3列の溝を掘り、水を滞留させて門柱の乾燥を防ぐ措置をとったが、昭和50年の調査ではそれが生かされていて、門柱は良好に残っていた。
高梨村のとった遺構保護策は成功していたのである。
外柵南門と材木塀
門の規模は東西9.2m、南北6.65mで、材木塀と同様、建て替えはない。
門柱は直径60㎝の丸柱で、その樹種の多くはクリである。
門に向かって東西両側3本の柱のうち、真中の柱に材木塀がとりついている。
門を作る時に工事用の足場を組んでいて、その柱穴も門の周囲から検出された。
この南門は、昭和44年の秋田農業博覧会に際し、京都大学工学部の福山敏男博士によって実物の1/5の大きさで模型が作られた。
さらに平成6年には「ふるさと歴史の広場」事業により、遺構の保存を図った上で、実物大の門と材木塀が復元されている。