大人にとっての魅力(2013年度マザーズ・タッチ文庫絵本選考委員 石井元子)
日々を忙しく過ごす中で、絵本の読み聞かせをする時間を設けるのは、もしかしたら少し負担になるのかもしれません。しかし、絵本がもつ力を知ることによって、そうした時間を大切にしようと思えるのではないでしょうか。
電子書籍や携帯できるゲームが増える中、絵本の存在は大きな意味をもちます。年齢によって好みや楽しみ方が違い、成長を見ることができます。繰り返し読み言葉を味わいながら字に興味をもって自分で読んでみようとしたり、言葉や文章の意味を知りながら読めるようになります。親子のスキンシップや会話を生むきっかけにもなるでしょう。
そして絵本は、子どものためだけのものではありません。読み聞かせをしていくと気付くのですが、絵本の中には、人生の教訓となるものや子育てのヒントになるものも含まれています。子どもの頃に読んでもらった絵本を大人になってからもう一度読み返し、「そういうお話だったのか」とあらためてその絵本のもつ意味をかみしめることができたら素晴らしいですね。
親には誰にでも「子どもに伝えたい生き方」というものがあると思います。絵本を通して、親の気持ちを子どもに伝えることもできるのではないでしょうか。