サンタさんのおとしもの

 

 
  
 
 

 

 雪が降るクリスマス・イブの夜。おつかいのために街を歩いていた赤いコートの女の子が、大きな赤い手袋を拾いました。「これは サンタさんの てぶくろに ちがいない。きっと さむくて こまっているわ」。手袋を届けてあげたいと思った女の子は、教会の塔に上ってサンタさんを探すことにします。高い塔の上からなら、街じゅうの家の煙突が見えると考えたからです。
 この絵本の多くの場面に、黒色の背景が使われています。雪の白色や女の子のコートの赤色が映え、冬らしい、クリスマスらしい雰囲気を演出しています。 
 その表現が際立っているのが、塔から見下ろした視点で描かれた、街の景色です。黒地にたくさんのカラフルな家々が並んでいます。それぞれの屋根の上には、カラフルな煙突も備わっています。さあ、サンタさんはどこにいるのでしょうか。サンタさんを見つける「探しもの絵本」の楽しさもありますね。
 そして、とうとう女の子は塔の上からサンタさんを見つけます。その後の展開も女の子の目線で楽しんでみてください。 
 もうすぐクリスマスです。家族で絵本に親しむ時間もいいものです。子どもたちの記憶に残る、そんな時間のプレゼントもすてきです。

 

柴田麻衣子(横手市職員・司書)

(令和7年12月13日秋田魁新報掲載)

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対象年齢 5歳ぐらいから
作者名等 三浦 太郎・作
出版社 あすなろ書房