サリーのこけももつみ

 

 
  
 
 

 冬の間に食べるジャムを作ろうと、サリーはお母さんと一緒に山にコケモモ摘みに出かけます。サリーが実を3粒摘んで小さいバケツに入れると音がしました。「ポリン・ポロン・ポルン!」。その後歩き疲れたサリーは、コケモモの茂みに座り込み、摘んだ実を次々と食べていきます。
 山の向こう側には、長い冬に備えてコケモモを食べに来ていたクマの親子がいました。母グマの後を追いかけてきた子グマはくたびれて茂みに座り込み、周りの実を食べ始めます。
 しばらくして、サリーと子グマはそれぞれお母さんを探しに音がする方に歩いて行きます。ところがサリーは親グマに、子グマはサリーのお母さんについて行ってしまいます。お母さんと母グマは、自分の子どもが迷子になってしまったことにしばらく気づきません。果たして、親子は無事再会できるのでしょうか。サリーや子グマの立てる「音」がストーリーの展開を握ります。
 市街地へのクマの出没が増え、自然や動物との関わり方が問われる昨今。この絵本は自然豊かな風景と、動物との共存関係を望む作者の思いが感じられる一冊となっています。

 

長谷川恵(認定こども園四ツ小屋)

(令和7年11月15日秋田魁新報掲載)

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対象年齢 5歳ぐらいから
作者名等 ロバート・マックロスキー・作・絵/石井 桃子・訳
出版社 岩波書店