あなたの好きな昆虫は何ですか? 夏のこの時期、一番人気はやはりカブトムシでしょうか? この本の主人公も、おっきいカブトムシを見つけようと出かけます。
カブトムシがいそうな木を見つけましたが、オオムラサキやカナブンがいるだけ。ガッカリしていると、「おい きみ、スズメバチにきをつけろ!」と後ろから突然声がしてびっくり! 声の主は「虫取り名人」を自称するお兄さん。お兄さんは、夕方か夜に来ないとカブトムシはいないと言います。夕方まで時間があるので、昆虫について教えてくれるようですよ。
まずは草むらでの虫の見つけ方。それから、土の中や水辺にいる虫について。あちこち回っている間にすっかり暗くなったので、昼に見た木に行ってみます。さあカブトムシはいるのでしょうか?
昼と夜の木、草むら、水辺が同じ構図で描かれ、昆虫の様子の違いは一目瞭然。昆虫は色鮮やかで、すごくリアルです。随所に解説があり、読んでいる間に「虫取り名人」になれますよ。昆虫の魅力に触れながら、知識も身につく一石二鳥の一冊です。
林一輝(NPO法人ファザーリング・ジャパン東北)
有名なグリムの昔話です。母やぎが森へ食べ物を探しにいくあいだ留守番をすることになった七ひきのこやぎ。母やぎからは狼に気をつけるようにいわれます。狼の見分け方はしわがれ声と足が黒いことです。
まもなくやってきた狼は、こやぎたちが声や足で狼を見分けると知ると、白墨で声を綺麗にし、ねりこと粉で足を白くしてきます。そしてだまして戸を開けさせ、こやぎたちを次々に飲み込んでいってしまいます。助かったのは時計の箱にかくれていた一番末のこやぎだけでした。
母やぎの悲しみは計り知れません。けれども狼のお腹の中で生きていることがわかると、こやぎたちを助けるためにすばやく動きます。
この絵本の最後では悪い狼が死に、それをみたこやぎたちが「おおかみしんだ」と叫び、母やぎと一緒に踊りまわります。いっけん残酷に思われるような終わり方です。
けれども、こやぎたちに気持ちを寄せてお話を聞く小さな子にとって、悪い狼の死は恐怖から解放、叫び声は安心した喜びの声に感じるのではないでしょうか。母やぎのこやぎたちへの愛情や親としての強さ頼もしさもしっかりと伝わってきます。
繊細で美しい絵と、優しく語り掛けるような丁寧な訳が特徴の長く読み継がれてきた絵本です。
プールの季節がやってきました。皆さんは泳げますか? 泳げるようになりたい人は、ぜひこの絵本を読んでみてください。
絵本によれば、イヌもネコもゾウもライオンも、みんな泳げます。だって体が水に浮くのですから。では、人間はどうでしょう? お風呂で試してみましょう。力を抜くと、手も足も浮かんできますね。しかも、動物も人間も、体の中に「うきぶくろ」があります。息をいっぱい吸うと、肺の中の空気が「うきぶくろ」の働きをして、体が水に浮きやすくなるのです。
「はい、そうですね」と泳げるようになれたら簡単ですが、なかなかそうはいきません。でも大丈夫。絵本ではちゃんと、プールでの練習方法も教えてくれます。
初めに、ゆっくりと歩く。それから走る、浮かぶ。おっとその前に、水のかけ合いっこで、顔がぬれても平気になろう。次は水の中で息を吐く練習。水の中で目を開けられるかな? 体を丸めると、ほら、浮いた。それから手を持ってもらって、横になる。そして足をばたばたさせると、前に進む。泳げるぞ。
あとはプールで試してみるだけですね。どうぞ皆さん、良い夏をお過ごしください。