さがしてみよう!マークのえほん 改訂版

 「これ見たことある」「これ知ってる」。会話の中心にあるのは「マークのえほん」です。私の勤務するこども園でも人気の1冊です。ページをめくりながら戻りながら、知っている自慢やマークを見た時の話と、おしゃべりは止まりません。
 この絵本には生活にあふれているマークが登場し、社会のルールを学ぶことができます。交通標識、お出かけ先で見るマーク、家の中の物に付いているマーク、場所を案内するマークと、たくさんの種類があります。
 この絵本の人気の理由が分かってきました。それは言葉や文字の説明がなくても伝わる、イラスト、形、色の力です。マークは安心安全な暮らしを守るだけではなく、人を思う、思いやりの印でもあります。世界中で通じるマークがたくさんあることにも驚きです。
 この絵本は、「家族で出かけたら」「お家の中で見つけたら」を想像して進みます。自分の体験と重ね合わせて覚えられそうです。途中にクイズもあるので、楽しさ倍増。親子で絵本を囲んで会話が弾むこと間違いなしです。読み終わった後のお出かけでは、マーク探しが始まるかもしれませんね。

 仁村 由美子( 聖霊女子短期大学付属幼稚園・保育園 )

(令和5年3月4日秋田魁新報掲載)

 

2022あふれちゃんのえほんばこへ進む

有名なグリムの昔話です。母やぎが森へ食べ物を探しにいくあいだ留守番をすることになった七ひきのこやぎ。母やぎからは狼に気をつけるようにいわれます。狼の見分け方はしわがれ声と足が黒いことです。
 まもなくやってきた狼は、こやぎたちが声や足で狼を見分けると知ると、白墨で声を綺麗にし、ねりこと粉で足を白くしてきます。そしてだまして戸を開けさせ、こやぎたちを次々に飲み込んでいってしまいます。助かったのは時計の箱にかくれていた一番末のこやぎだけでした。
 母やぎの悲しみは計り知れません。けれども狼のお腹の中で生きていることがわかると、こやぎたちを助けるためにすばやく動きます。
 この絵本の最後では悪い狼が死に、それをみたこやぎたちが「おおかみしんだ」と叫び、母やぎと一緒に踊りまわります。いっけん残酷に思われるような終わり方です。
 けれども、こやぎたちに気持ちを寄せてお話を聞く小さな子にとって、悪い狼の死は恐怖から解放、叫び声は安心した喜びの声に感じるのではないでしょうか。母やぎのこやぎたちへの愛情や親としての強さ頼もしさもしっかりと伝わってきます。
 繊細で美しい絵と、優しく語り掛けるような丁寧な訳が特徴の長く読み継がれてきた絵本です。
対象年齢 5歳ぐらいから
作者名等 ぼここうぼう・絵/児山啓一・監修
出版社 Gakken