もうすぐ節分です。今回は、鬼が登場する絵本をご紹介します。斎藤氏と滝平氏による絵本には、「モチモチの木」や「花さき山」など示唆に富んだものも多いですが、こちらは純粋に笑って楽しむことができると思います。
ソメコは5歳です。家族や村のみんなは、いつも働くのに精いっぱい。誰もソメコが満足するまでは遊んでくれません。ある日、ソメコが1人で遊んでいると、知らないおじさんが現れ、おままごとに付き合ってくれます。喜んで遊んでいるうちに、ソメコはおじさんの岩屋へとさらわれてしまうのでした。
ところが、ソメコは泣きません。暗い岩屋の中でも怖がらず、興味津々です。おじさんと2人きりで遊べることが、何よりうれしいのです。面倒になったおじさんは、とうとう自分の正体を鬼だと明かします。それでもソメコは笑って喜ぶのですから鬼はたまりません。
初めは、ソメコのお父さんに脅迫状を書こうとしていた鬼ですが、ソメコに家に帰ってほしいあまりになんとも奇妙な手紙になってしまいます。切実さが笑いを誘い、鬼が少しかわいそうにも思えてしまう手紙をぜひ読んでみてください。
伊藤 麻衣子( 横手市職員・司書 )
(令和5年1月28日秋田魁新報掲載)
対象年齢 | 5歳ぐらいから |
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作者名等 | 斎藤隆介・作 /滝平二郎・絵 |
出版社 | 岩崎書店 |