だるまなんだ

 
 
 「だるまさんがころんだ!」のリズムで楽しめる絵本です。手や足が出た7個のだるまたちが「だるまさんがならんだ」「だるまさんがきけんだ」「だるまさんがしずんだ」「だるまさんがねこんだ」のフレーズに合わせていろんな決めポーズをしています。今度はどんなことが起きるのか、ページをめくるのがだんだん楽しくなっていきます。
 火を吐く恐竜と遭遇したり海に落ちて風邪をひき寝込んでしまったりと、大変な目に遭うだるまたち。彼らの身にふりかかる出来事も、そのたびに変わる表情も見どころです。子どもたちと一緒に読んでいると「ピンクのだるま、あの時はどんな顔をしていたんだっけ?」と絵本のページを行ったり来たりして笑いが絶えません。
 だるまたちのカラフルな色も心をわくわくさせてくれます。同じ形をしているけれど、それぞれが個性的な表情や色を持っています。同じポーズをしていても、一つ一つが「だるまなんだ」と自己主張しているよう。そんなだるまたちが、おかしくて楽しくていとおしくなる一冊。



 石坂 千雪( 鹿角市児童センター・子ども未来センター )

(令和5年1月14日秋田魁新報掲載)

 

2022あふれちゃんのえほんばこへ進む

有名なグリムの昔話です。母やぎが森へ食べ物を探しにいくあいだ留守番をすることになった七ひきのこやぎ。母やぎからは狼に気をつけるようにいわれます。狼の見分け方はしわがれ声と足が黒いことです。
 まもなくやってきた狼は、こやぎたちが声や足で狼を見分けると知ると、白墨で声を綺麗にし、ねりこと粉で足を白くしてきます。そしてだまして戸を開けさせ、こやぎたちを次々に飲み込んでいってしまいます。助かったのは時計の箱にかくれていた一番末のこやぎだけでした。
 母やぎの悲しみは計り知れません。けれども狼のお腹の中で生きていることがわかると、こやぎたちを助けるためにすばやく動きます。
 この絵本の最後では悪い狼が死に、それをみたこやぎたちが「おおかみしんだ」と叫び、母やぎと一緒に踊りまわります。いっけん残酷に思われるような終わり方です。
 けれども、こやぎたちに気持ちを寄せてお話を聞く小さな子にとって、悪い狼の死は恐怖から解放、叫び声は安心した喜びの声に感じるのではないでしょうか。母やぎのこやぎたちへの愛情や親としての強さ頼もしさもしっかりと伝わってきます。
 繊細で美しい絵と、優しく語り掛けるような丁寧な訳が特徴の長く読み継がれてきた絵本です。
対象年齢 3歳ぐらいから
作者名等 おおなり修司・文/丸山誠司・絵
出版社 絵本館