十二支のお雑煮

 今回はお雑煮の絵本です。みなさんは、お正月にお雑煮を食べましたか? え? もう飽きたですって? でも、お雑煮こそお正月料理の主役なのです。年内最後の料理がお節料理、そして、年が明けて一番初めの火で作るお料理がお雑煮となります。
 十二支たちのお正月の様子を見てみましょう。ねずみたちは、新年初めての水を井戸でくんでいます。これを「若水」と言って、この水でお雑煮を作ります。全員で「あけましておめでとう」のあいさつをしたら、鏡餅に宿る年神様にもごあいさつ。一番うれしそうなのは、やっぱり今年の干支のうさぎでしょうか。
 お節料理を食べたり、初詣に行ったり。たこあげや羽根つき、すごろくなど、みんながお正月らしい遊びに興じる中、さるがせっせとお雑煮作りに取りかかり、いのししは餅を焼きます。そして、12種類のお雑煮が勢ぞろいしました。白みそ、すまし仕立て、あっさりしたものや甘いあんこの入ったもの、どのお雑煮もおいしそう。
 お正月ってやっぱり特別ですね。さあ、今年もたくさん、たくさんがんばって、次のお正月にまた元気にお雑煮を食べましょう。今年もみなさまに良いことがたくさんありますように。

 遠藤 美弥子( おはなしの会「おはなしの扉」 )

(令和5年1月7日秋田魁新報掲載)

 

2022あふれちゃんのえほんばこへ進む

有名なグリムの昔話です。母やぎが森へ食べ物を探しにいくあいだ留守番をすることになった七ひきのこやぎ。母やぎからは狼に気をつけるようにいわれます。狼の見分け方はしわがれ声と足が黒いことです。
 まもなくやってきた狼は、こやぎたちが声や足で狼を見分けると知ると、白墨で声を綺麗にし、ねりこと粉で足を白くしてきます。そしてだまして戸を開けさせ、こやぎたちを次々に飲み込んでいってしまいます。助かったのは時計の箱にかくれていた一番末のこやぎだけでした。
 母やぎの悲しみは計り知れません。けれども狼のお腹の中で生きていることがわかると、こやぎたちを助けるためにすばやく動きます。
 この絵本の最後では悪い狼が死に、それをみたこやぎたちが「おおかみしんだ」と叫び、母やぎと一緒に踊りまわります。いっけん残酷に思われるような終わり方です。
 けれども、こやぎたちに気持ちを寄せてお話を聞く小さな子にとって、悪い狼の死は恐怖から解放、叫び声は安心した喜びの声に感じるのではないでしょうか。母やぎのこやぎたちへの愛情や親としての強さ頼もしさもしっかりと伝わってきます。
 繊細で美しい絵と、優しく語り掛けるような丁寧な訳が特徴の長く読み継がれてきた絵本です。
対象年齢 5歳ぐらいから
作者名等 川端誠・作
出版社 BL出版