この本の主役は「大根」。なんとなく脇役っぽいイメージで、一年中見ているからか特別感を感じません。しかし食材としての活躍ぶりはヒーローのよう。歴史ある野菜としての威厳もあり、魅力がたっぷりです。
あらゆる角度から大根をみつめる作者の解説が、面白さを引き立てるイラストとともに、読み手の知的好奇心と食欲をくすぐります。
はるか昔、地中海沿岸でアブラナ科の一種として生まれ、シルクロードを通って日本にやってきた大根。安価で栄養価が高く、どんな食材とも相性が良いことから料理法は豊富です。煮て良し、焼いて良し、葉も皮も使え、乾物や漬物、汁物にしても合います。SDGs(持続可能な開発目標)にも一役買いそうです。
大根の新しい知識がひもとかれ、とても楽しく読み進められます。作者は大根を人気・実力ともにナンバーワンの野菜として大々的にアピールすべきだと主張しますが、大根は「ぼくは刺し身のつまのように出しゃばらず、相手を引き立てるのがお似合いさ」と言いそうですね。
いよいよ冬が到来。大根は免疫力を高める食材の一つでもあるようです。やっぱり「大根はエライ」!
仁村 由美子( 聖霊女子短期大学付属幼稚園・保育園 )
(令和4年12月10日秋田魁新報掲載)
対象年齢 | 小学校低学年ぐらいから |
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作者名等 | 久住昌之・文・絵 |
出版社 | 福音館書店 |