ふゆめ がっしょうだん

 冬を乗り切るため、防寒着や暖房機器を準備する私たち。土の中や巣穴で冬ごもりする昆虫や動物たち。では、野ざらし状態の植物たちはどのような冬支度をしているのでしょうか? 今回ご紹介するのは、春の芽吹きに向けて準備する冬芽たちが主人公の写真絵本。冬芽の中には花や葉になるものが詰まっていて、その尊い命を多様な姿で寒さや乾燥から守ります。
 かわいいうさぎみたい♪ こっちはおさるさんかな? お子さんとの会話が弾みそうな冬芽の写真に心奪われます。葉っぱの柄がついていた跡が輪郭となり、水分や養分を運んでいた管が表情のように見えて不思議ですね。
 「はるになれば」「はが でて はなが さく」「パッパッパッパッ」。写真に添えた文からは、春を待ち望む気持ちが伝わります。心地よいリズムとともに、表情豊かな冬芽合唱団のステージをお楽しみください♪
 寒くなると家にこもりがちになりますが、冬芽のようにしっかりと寒さ・乾燥対策をして冒険の旅へ出るのもオススメ。自然の美しさや生命力を感じたり、表情豊かな冬芽に出会ったりと、外遊びの幅も広がっていきそうですね♪



 髙橋 寛光( あきたパパ絵本チーム「パパコラボ」 ) 

(令和4年11月26日秋田魁新報掲載)

 

2022あふれちゃんのえほんばこへ進む

有名なグリムの昔話です。母やぎが森へ食べ物を探しにいくあいだ留守番をすることになった七ひきのこやぎ。母やぎからは狼に気をつけるようにいわれます。狼の見分け方はしわがれ声と足が黒いことです。
 まもなくやってきた狼は、こやぎたちが声や足で狼を見分けると知ると、白墨で声を綺麗にし、ねりこと粉で足を白くしてきます。そしてだまして戸を開けさせ、こやぎたちを次々に飲み込んでいってしまいます。助かったのは時計の箱にかくれていた一番末のこやぎだけでした。
 母やぎの悲しみは計り知れません。けれども狼のお腹の中で生きていることがわかると、こやぎたちを助けるためにすばやく動きます。
 この絵本の最後では悪い狼が死に、それをみたこやぎたちが「おおかみしんだ」と叫び、母やぎと一緒に踊りまわります。いっけん残酷に思われるような終わり方です。
 けれども、こやぎたちに気持ちを寄せてお話を聞く小さな子にとって、悪い狼の死は恐怖から解放、叫び声は安心した喜びの声に感じるのではないでしょうか。母やぎのこやぎたちへの愛情や親としての強さ頼もしさもしっかりと伝わってきます。
 繊細で美しい絵と、優しく語り掛けるような丁寧な訳が特徴の長く読み継がれてきた絵本です。
対象年齢 5歳ぐらいから
作者名等 冨成忠夫、茂木透・写真 長新太・文
出版社 福音館書店