べべべんべんとう

 
 皆さんがお弁当で好きなおかずといえば何ですか? 卵焼きにウインナー、からあげ、エビフライ、ミートボール。育った環境や地域で好きなおかずは違ってくると思います。この絵本では、さまざまなお弁当が色鮮やかに描かれています。読んでいるうちに思わずおなかが減ってしまいそうです。
 最初に出てくるのは、この絵本の主人公である「ぼく」の家族のお弁当。お父さんはカロリー控えめ、おじいちゃんは地味、お兄ちゃんはからあげたっぷり、お姉ちゃんはふりかけでおしゃれに。お母さんが毎朝家族みんなの好みや食べる量に合わせて内容を少し変えてくれています。お母さんの優しさが感じられる一場面です。
 お弁当といったら遠足や運動会! この日のお弁当は中身も特別。お友達や家族と外で食べるお弁当の味は格別ですよね。そのほかにも北海道や沖縄、アメリカ、フランス、アフリカをイメージして「ぼく」が考えたお弁当も登場します。ぜひ皆さんの目でそのユニークなお弁当を見てみてください。
 これから、秋田で紅葉が見頃を迎えます。お気に入りのおかずを詰めたお弁当を持って、散歩やドライブに出かけてみてはいかがでしょうか?



 林 一輝( NPO法人ファザーリング・ジャパン東北 )

(令和4年10月15日秋田魁新報掲載)

 

2022あふれちゃんのえほんばこへ進む

有名なグリムの昔話です。母やぎが森へ食べ物を探しにいくあいだ留守番をすることになった七ひきのこやぎ。母やぎからは狼に気をつけるようにいわれます。狼の見分け方はしわがれ声と足が黒いことです。
 まもなくやってきた狼は、こやぎたちが声や足で狼を見分けると知ると、白墨で声を綺麗にし、ねりこと粉で足を白くしてきます。そしてだまして戸を開けさせ、こやぎたちを次々に飲み込んでいってしまいます。助かったのは時計の箱にかくれていた一番末のこやぎだけでした。
 母やぎの悲しみは計り知れません。けれども狼のお腹の中で生きていることがわかると、こやぎたちを助けるためにすばやく動きます。
 この絵本の最後では悪い狼が死に、それをみたこやぎたちが「おおかみしんだ」と叫び、母やぎと一緒に踊りまわります。いっけん残酷に思われるような終わり方です。
 けれども、こやぎたちに気持ちを寄せてお話を聞く小さな子にとって、悪い狼の死は恐怖から解放、叫び声は安心した喜びの声に感じるのではないでしょうか。母やぎのこやぎたちへの愛情や親としての強さ頼もしさもしっかりと伝わってきます。
 繊細で美しい絵と、優しく語り掛けるような丁寧な訳が特徴の長く読み継がれてきた絵本です。
対象年齢 5歳ぐらいから
作者名等 さいとう しのぶ・作・絵
出版社 教育画劇