実り豊かな秋になりました。万次郎さんの田んぼは今年も豊作です。収穫したお米で、万次郎さんはおにぎりを10個作りました。
順番にのりを巻いていきますが、1個分ののりが足りません。万次郎さんが探していると、のりが巻かれた9個のおにぎりたちが「ああ、もう、まてねえぞう」と次々に転がり、万次郎さんの家を飛び出します。
のりがまだ巻かれていないおにぎりは「いやじゃ、いやじゃ、はだかは いやじゃ」と、台の上をころころ転がり、散らばっているのりのかけらをくっつけて後を追います。「おてんとさまあ、いま いきますけん、まっていてくだされえ」。おにぎりたちは、おてんとさまの元へ向かっているようです。
この絵本は、2歳ごろから楽しむことができる幼児絵本シリーズの一冊です。万次郎さんとおにぎりたちの表情がユーモラスで、温かな雰囲気です。描かれているのは、収穫したものを料理することと、味わうこと。シンプルなストーリーだからこそ、自然の恵みに対する感謝の気持ちがまっすぐに伝わってきます。食べ物について考える第一歩になると思います。
伊藤 麻衣子( 横手市職員・司書 )
(令和4年10月8日秋田魁新報掲載)
対象年齢 | 3歳ぐらいから |
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作者名等 | 本田いづみ・ぶん/北村人・え |
出版社 | 福音館書店 |