さるじぞう

 「むかしむかし、あったと」で始まる、山形県の昔話です。おじいさんは、おばあさんの作った「しろもち」を持って山へしば刈りに出掛けます。たくさんしばを刈り、おなかがすいたおじいさんは、川の近くでしろもちをたくさん食べて眠ってしまいます。
 そこへさるがやって来ました。寝ているおじいさんの口のまわりは、しろもちの粉で真っ白です。さるはお地蔵さんと勘違いし、川向こうのお堂へまつろうとします。
 さるたちはおじいさんを担いで「さるのおしりはぬらしても じぞうのおしりはぬらすなよ」と、とっても愉快なはやし歌をうたいながら川を渡ります。おじいさんもつい笑いそうになりますが、正体がばれたら大変。こらえてお堂に無事到着するとさるたちにあがめられます。その後、こっそりお供え物をもらって家へ帰りました。
 さて、その話を聞いた隣のおばあさんも、おじいさんにしろもちを持たせてしば刈りに送り出しましたが、果たして隣のおじいさんの運命は…。
 欲張りや嫉妬はいけないと諭しながらも、なんだか楽しくなってくるお話です。描かれている絵にも味があり、お話をより楽しくしてくれています。

 石坂 千雪( 鹿角市児童センター・子ども未来センター )

(令和4年10月1日秋田魁新報掲載)

 

2022あふれちゃんのえほんばこへ進む

有名なグリムの昔話です。母やぎが森へ食べ物を探しにいくあいだ留守番をすることになった七ひきのこやぎ。母やぎからは狼に気をつけるようにいわれます。狼の見分け方はしわがれ声と足が黒いことです。
 まもなくやってきた狼は、こやぎたちが声や足で狼を見分けると知ると、白墨で声を綺麗にし、ねりこと粉で足を白くしてきます。そしてだまして戸を開けさせ、こやぎたちを次々に飲み込んでいってしまいます。助かったのは時計の箱にかくれていた一番末のこやぎだけでした。
 母やぎの悲しみは計り知れません。けれども狼のお腹の中で生きていることがわかると、こやぎたちを助けるためにすばやく動きます。
 この絵本の最後では悪い狼が死に、それをみたこやぎたちが「おおかみしんだ」と叫び、母やぎと一緒に踊りまわります。いっけん残酷に思われるような終わり方です。
 けれども、こやぎたちに気持ちを寄せてお話を聞く小さな子にとって、悪い狼の死は恐怖から解放、叫び声は安心した喜びの声に感じるのではないでしょうか。母やぎのこやぎたちへの愛情や親としての強さ頼もしさもしっかりと伝わってきます。
 繊細で美しい絵と、優しく語り掛けるような丁寧な訳が特徴の長く読み継がれてきた絵本です。
対象年齢 3歳ぐらいから
作者名等 大黒みほ・再話/斎藤隆夫・絵
出版社 あすなろ書房