おおかみと七ひきのこやぎ

 
 有名なグリム童話です。おかあさんやぎが森で食べ物を探す間、留守番をすることになったこやぎたち。おかあさんやぎは、しわがれ声で足が黒いおおかみに気をつけるよう言いました。
 こやぎたちが声や足で見分けると知ったおおかみは、白墨で声をきれいにし、粉で足を白くします。だまされて戸を開けたこやぎたちはおおかみにのみ込まれてしまい、時計の箱に隠れた末っ子だけが助かりました。
 帰ってきたおかあさんやぎの悲しみは計り知れません。けれどもおおかみのおなかの中でこやぎたちが生きているとわかると、素早く動きます。
 絵本の最後では悪いおおかみが死に、それを見たこやぎたちが「おおかみしんだ!」と叫び、おかあさんやぎと一緒に踊り回ります。一見残酷に思われる終わり方ですが、こやぎたちに気持ちを寄せてお話を聞く小さな子にとって、悪いおおかみの死は恐怖からの解放と感じられるのではないでしょうか。
 繊細で美しい絵と、優しく語りかけるような訳が特徴の、長く読み継がれてきた絵本です。

 田丸美穂( 秋田県子ども読書支援センター )

(令和4年9月17日秋田魁新報掲載)

 

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有名なグリムの昔話です。母やぎが森へ食べ物を探しにいくあいだ留守番をすることになった七ひきのこやぎ。母やぎからは狼に気をつけるようにいわれます。狼の見分け方はしわがれ声と足が黒いことです。
 まもなくやってきた狼は、こやぎたちが声や足で狼を見分けると知ると、白墨で声を綺麗にし、ねりこと粉で足を白くしてきます。そしてだまして戸を開けさせ、こやぎたちを次々に飲み込んでいってしまいます。助かったのは時計の箱にかくれていた一番末のこやぎだけでした。
 母やぎの悲しみは計り知れません。けれども狼のお腹の中で生きていることがわかると、こやぎたちを助けるためにすばやく動きます。
 この絵本の最後では悪い狼が死に、それをみたこやぎたちが「おおかみしんだ」と叫び、母やぎと一緒に踊りまわります。いっけん残酷に思われるような終わり方です。
 けれども、こやぎたちに気持ちを寄せてお話を聞く小さな子にとって、悪い狼の死は恐怖から解放、叫び声は安心した喜びの声に感じるのではないでしょうか。母やぎのこやぎたちへの愛情や親としての強さ頼もしさもしっかりと伝わってきます。
 繊細で美しい絵と、優しく語り掛けるような丁寧な訳が特徴の長く読み継がれてきた絵本です。
対象年齢 3歳ぐらいから
作者名等 グリム・作 
出版社 福音館書店