はからはじまるカルシウムのはなし

 あなたの歯は、昔は恐竜の歯だったかもしれないよ、と聞いたらびっくりしますか? みなさんの骨や歯にはカルシウムが含まれていますね。ではそのカルシウムはどこから来たのでしょう。
 ある日、「ぼく」の歯が抜けました。その歯を土に埋めたら、もろくなって土になり、さらに細かくなりました。カルシウムはコマツナに吸い上げられて、葉っぱをしゃんとさせます。そのコマツナはカタツムリに食べられ、やがてその殻は土に戻る…と思ったら、今度は大きな木にカルシウムが吸い上げられました。葉っぱはシカに食べられて、その角は春になると落ちてまた土に戻って、雨に流され、海の中でサンゴに吸い込まれます。サンゴはブダイにかじられ、ブダイのふんに混じったカルシウムはワカメに吸い込まれて、それから?
 葉っぱをしゃんとさせたりワカメをぷるぷるさせたりと、カルシウムはあらゆるところで大活躍。動物や植物のカルシウムは土に戻り、また何かに吸収されて別の働きをしながら、地球をぐるぐる回るのです。数億年前の恐竜の牙も、めぐりめぐってあなたの歯になっているかもしれません。

 遠藤 美弥子( おはなしの会「おはなしの扉」 )

(令和4年6月4日秋田魁新報掲載)

 

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対象年齢 小学校低学年ぐらいから
作者名等 伊沢尚子・作/ダイスケ・ホンゴリアン・絵
出版社 福音館書店