むらをすくったかえる

 ケロケロ、クワックワッとかえるたちの鳴き声が聞こえる季節になってきました。お子さんと一緒に「かえるの合唱」を歌ったり、家族や仲間と輪唱したりするのも楽しいひとときですね。
 さて、今回ご紹介する絵本の主人公は、長い旅の果てに村にたどり着いた「かえる」。働き者の村人たちを見ることが好きになり、沼地の静けさや美しさも気に入ったので、この村で暮らすことにしました。しかし、村人たちは近寄ろうともしません。
 ある日届いた「おやじどの」からの手紙で、村に大干ばつが迫っていることを知ります。仲良くなりたくても近づいてさえくれない村人たち。だけど、もし自分の雨乞いの歌で日照りを救えたら、心を開いてくれるかもしれない。悩み決断したかえるの行動とは? 村人たちとの関係性の変化やそれぞれの運命の行方は?
 もし、自分がかえるだったら? 村人の一人だったら? かえるたちの鳴き声や姿が実は多様なように、受け取り方や感じ方もたくさんありそうですね。

 髙橋 寛光( あきたパパ絵本チーム「パパコラボ」 )

(令和4年5月28日秋田魁新報掲載)

 

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対象年齢 小学校低学年ぐらいから
作者名等 サトシン・作/塚本やすし・絵
出版社 ディスカヴァー・トゥエンティワン