ひよこは にげます

 五味太郎さんは、これまで400冊を超える絵本を描いてきました。言葉遊びやなぞなぞ、しかけ絵本、クリスマス絵本、うんちの本など、どんなものでも絵本にしてしまう天才です。
 さて、今回は五味さんの新しい絵本「ひよこは にげます」をご紹介します。おや、どこかで聞いたようなと思った方は絵本通。「きんぎょが にげた」という名作があります。あれから40年。新しい「にげます」の誕生です。
 ある日、おうちにいたひよこの1羽が、ててて、と走りだします。残りの2羽も「なんだなんだ?」という感じで追いかけます。お日様も照って、だんだんきりっとした顔になって、やる気出てきた!と走り続けます。
 そうなると子どもの可能性は無限ですね。ちょっと休めば元気回復。雨にぬれようが、疲れようが、どんどん進みます。でも危険な敵が来たときは、ちゃんと草むらに隠れます。ちょうどバスが通りかかったので、乗ってしまいます。
 さて、バス停に着きました。また走ります。すると着いたところは、あらびっくり。ひよこたちの大冒険ですが、親鳥たちは「勝手にでかけたらだめでしょ」と怒鳴ったりしないで、にこにこお出迎え。おとうさん、おかあさん、毎日子育てご苦労様です。

 遠藤 美弥子( おはなしの会「おはなしの扉」 )

(令和4年4月2日秋田魁新報掲載)

 

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対象年齢 3歳ぐらいから
作者名等 五味太郎・作 
出版社 福音館書店