ぼく、だんごむし

 特別に虫好きでなくても、身近な虫には興味を抱く子も多いのではないでしょうか。ダンゴムシも外に出るとよく見掛けますね。ダンゴムシは、草むらや林の中よりも、人間が暮らしているところに近い方がすみやすいのだそうです。そんな彼らのすみかのこと、食べ物のこと、いろいろな秘密を小さな子どもにも分かりやすく、丁寧に説明した自然科学の絵本です。
 ダンゴムシの魅力が描かれているだけではなく、貼り絵で表現されていることも、この本の面白いところです。餌の一つとして描かれる新聞紙は、ちぎった本物の新聞紙。隅々までページを見つめる子どもの姿は、地面にしゃがみこんで、虫の動きを真剣に追い掛ける子どもの姿と重なる気もします。
 数年前のこと。保育所のベテランの先生が、ダンゴムシの赤ちゃんが生まれる瞬間を初めて見た、と教えてくださったことがあります。図書館の司書がちょうどこの本をご紹介した後でしたので、「本と同じだ!」と子どもたちと興味深く観察できたとのこと。本と身近な世界とがつながった喜びが伝わってきて、私もとてもうれしく思いました。足元に広がる虫の世界と一緒に楽しんでみてください。

 柴田 麻衣子( 横手市図書館課 )

(令和3年7月10日秋田魁新報掲載)

 

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対象年齢 5歳ぐらいから
作者名等 得田 之久・文/たかはし きよし・絵
出版社 福音館書店