ばんそうこうくださいな

 

 大人から見ると大したけがではなくても、子どもはなぜかばんそうこうを貼りたがるものです。そして、貼ったとたんに魔法のように落ち着くのが不思議です。
 主人公のうみちゃんが、転んで膝を擦りむいて泣いています。そこで、お母さんがばんそうこうを貼ってあげると、あら不思議、もう痛くありません。「ばんそうこうってすごい!」と思ったうみちゃんは、ばんそうこう屋さんを開くことにしました。 
 うみちゃんのばんそうこう屋さんには、けがをした動物たちが次々とやってきます。ぺたん、ぺたん、とばんそうこうを貼り動物の手当てをしていくうみちゃんですが、けがをしたヘビさんの長いおなかにどんどん貼っていくと、ばんそうこうはなくなってしまいました。さて、どうしよう。
 シールやテープなど「貼る」ものを幼い子どもが好むのは、達成感が味わえるからだといわれています。未発達で不器用な指先でも、ばんそうこうをぺたんと貼るとほら出来上がり。これなら、お医者さんにも看護師さんにもなれますからね。もちろん、「けがをしたんだよー!」という自己主張もあるでしょう。そんな気持ちにも寄り添っていきたいですね。

 柴田麻衣子( 横手市図書館課 )

(令和3年5月1日秋田魁新報掲載)

 

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対象年齢 3歳ぐらいから
作者名等 矢野 アケミ/作
出版社 WAVE出版