どしゃぶり

 夏の暑い日、急に雨が降って来た時のお話。ぽつっ!ぽつっ!降りはじめの雨音。地面にぶつかりはじける雨。傘に落ちる雨ばら ばら ばらっ。どしゃぶりの雨 ずだだだだだだだ ぼぼぼぼぼぼぼ。雨の音が絵本の中から飛び出してきます。雨の匂いや雨の温度までも感じます。はじけた雨粒の中に景色が映り、雨の中の虫やかえるたちの様子もステキに描かれています。絵と文が絶妙にからみ合って、読んでいるのに、まるで雨の中にいるような気分になる不思議な絵本です。
 児童センターにいると、雨が降る日に学校から帰って来る子どもたちの半数は、傘をささずにぬれて帰ってきます。「何で傘ささないできたの?ぬれちゃったじゃない!」と困った声を出す職員に「いいの!いいの!あー気持ちいがった!」と笑顔で応える子どもたち。風邪を引くことも着替えのことも心配しない子どもたちには、雨は楽しい友達なのかもしれませんね。絵本を見ながら、大人になって忘れていた雨にぬれる楽しさを思い出しました。雨とあそぶ楽しさを体いっぱいに感じ、びしょぬれになって遊びたくなる絵本です。
  それにしても、雨には楽しいと思えるくらいの降り方をしてほしいものだとつくづく思います。

 石坂 千雪( 鹿角市児童センター・子ども未来センター )

 

2020あふれちゃんのえほんばこへ進む

対象年齢 赤ちゃんから(0歳~ )
作者名等 おーなり由子/作 はたこうしろう/絵 
出版社 講談社