くろねこかあさん

  

 黒猫が赤ちゃんを産みました。生まれたのは、白猫と黒猫が3匹ずつ。「くろねこかあさん あかちゃんうんだ しろねこさんびき おちちをのんだ くろねこさんびき あそんでばかり」。語感のいい文章で、母さん猫と子猫たちの姿を歌うように描いていきます。
 絵は切り絵作品です。そこに施されたなんともかわいらしい仕掛けは、黒い紙を切り抜いて3匹の黒猫にして、その切り抜かれた黒い紙の白抜き部分を3匹の白猫に見立てていること。同じシルエットでも、お乳を飲んでいる白猫と遊んでいる黒猫に見えてくるのが不思議です。
 はっきりとした白と黒のコントラストは、視力が未発達でも認識しやすいので、小さな子どもも親しみやすいでしょう。
 いつも黒と白の3匹ずつ、違う行動をしている子猫たちですが、最後の場面ではみんな一緒、母さん猫のそばでぐっすりです。「くろねこかあさん やさしいかあさん しろねこさんびき すくすくそだつ くろねこさんびき すくすくそだつ」
 たくさん遊んでたくさん食べて、健やかに育ってほしいという親の願いは、猫も人間も同じですね。


 (令和3年3月21日秋田魁新報掲載)

 柴田 麻衣子( 横手市図書館課 )

 

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対象年齢 赤ちゃんから(0歳~ )
作者名等 東 君平/作 
出版社 福音館書店