てぶくろ-ウクライナ民話-

 舞台は雪が降り積もる森の中。おじいさんが片方の手袋を落として行ってしまいます。手を入れるところに毛がついた、厚い皮でできた暖かそうな手袋です。
 手袋を見つけたネズミが「ここでくらすことにするわ」と言いながら、手袋の中にもぐり込みます。ところがその後、カエルやウサギなどの小動物から、イノシシやクマといった大きな動物まで、次々にやって来ては手袋の中に加わっていきます。手袋はもちろんぎゅうぎゅう詰めです。
 よく見ると、動物たちが入るたび手袋は、階段や煙突などが付いていき、家らしくなっていきます。
 世代を超えて読み継がれてきたウクライナの昔話絵本。ロシアの絵本作家ラチョフの絵からは、冬の森の匂いや寒々しさ、動物たちの息遣いが伝わってきます。お話の世界に入り込んだような気分で読み進められます。
 秋田の冬もまだまだ寒さが続きます。手袋の中の動物たちのように、家の中で家族みんなでぬくぬくと楽しく過ごしたいですね。


 田丸 美穂( 秋田県子ども読書支援センター )

(令和3年2月7日秋田魁新報掲載)

 

2020あふれちゃんのえほんばこへ進む

対象年齢 3歳ぐらいから
作者名等 エウゲーニー・M・ラチョフ/絵 うちだりさこ/訳
出版社 福音館書店