エルマーのゆきあそび

  

 ユーモラスなパッチワーク柄で、おどけた表情をした表紙のゾウがエルマーです。何だか面白いことが起こりそうな予感。想像が膨らみます。
 ある朝のこと、エルマーは元気のない様子の仲間のゾウたちを見て、散歩に誘います。ジャングルを抜け、急な坂道を越え、しばらく行くと、そこはどこもかしこも真っ白な雪山でした。ゾウたちは驚いたのなんの、転がったり、長い鼻で雪シャワーを浴びたり、何もかも面白そうです。
 はしゃいで夢中なゾウたちを見ながら、エルマーは別の場所へと向かいます。いなくなったエルマーをゾウが探していると、雪のエルマー像が現れてみんなびっくり。その後は雪合戦も始まり、ずっと遊びっぱなしです。
 生き生きと遊ぶゾウたちがとても魅力的です。その理由は何より、作者の絵にあるように思います。見開きページに描かれている構図の素晴らしさ、鮮やかな色彩。多色を用いた背景の森や木々、草花は表情豊かで奥行きがあり、一枚の絵画を見ているようです。
 ゾウたちの姿から仲間のいるうれしさ、想像する楽しさ、生きている喜びが伝わってくるようです。細かで丁寧なタッチは温かさも感じさせます。 


 (令和3年1月24日秋田魁新報掲載)

 仁村 由美子( 聖霊女子短期大学付属幼稚園・保育園 )

 

2020あふれちゃんのえほんばこへ進む

対象年齢 5歳ぐらいから
作者名等 デビッド・マッキー/文・絵 きたむらさとし/訳
出版社 BL出版