今回は丑年にちなんで、スペインの「ふぇるじなんど」を紹介したいと思います。
ふぇるじなんどは70年以上前に絵本に登場し、今もなお、子どもたちに愛されている有名なウシです。静かに花の匂いをかぐのが何より好きで、ほかの子ウシのように飛んだり跳ねたり暴れ回ったりしません。
ところが、闘牛に出すウシを探しにたくさんの人がやってきた時のこと、いつものように静かに花の匂いをかごうとしたふぇるじなんどは、何とハチにお尻を刺されて大暴れ。それを見た人々は勇敢なウシだと勘違いして、ふぇるじなんどを闘牛場に連れて行きます。
いよいよ闘牛が始まりました。ところが、びっくりすることが起きたのです。いったい何が起こったのでしょう?
どんなに周囲が変化しても、花の香りを楽しむふぇるじなんど。優しく息子を見守るお母さんウシ。はたまた、ワインのコルク栓がたわわに実る不可思議なコルクの木。ページごとに素晴らしい絵があり、反対のページにはリズミカルで簡潔な文章が添えられています。自分で読みたくなった小さな読者に、さりげなく絵本から読書への道を案内してくれる名作です。
(令和3年1月17日秋田魁新報掲載)
遠藤 美弥子 ( おはなしの会「おはなしの扉」 )
対象年齢 | 小学校低学年ぐらいから |
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作者名等 | マンロー・リーフ/文 ロバート・ローソン/絵 光吉 夏弥/訳 |
出版社 | 岩波書店 |